先週は大学の関連病院NICUの新生児カンファレンス。旧帝大ってやつで、参加する病院は滋賀から島根まで広がっている。16日の土曜日は京都市内のNICUが集まってのカンファレンス。範囲は狭いが、京都市内にはもう一つ大学病院があってその関連施設が集まってくるので、参加するNICUは意外に重複しない。2週続けて新生児の発表会だった。
いずれにも、当院NICUからは看護師さんが発表をした。私は過去数年分の統計処理の下請け。院外出生の入院児のうち開業の産科医院からは何件で総合病院は何件で、そのうち人工換気したのが何件で、云々。医者と言うよりもファイルメーカープロのオペレーターみたいな係だった。そう言えば父は経理の仕事をしていた。結局はその血筋なのか。
前回のこのカンファレンスで私は昨年度の当院NICUの実績を発表した。弱小NICUの実績など何の学術価値もないのに敢えて発表したのは、京都の新生児医療の実態が、統計を集約しているはずの行政側が何の発表もしないので、自分達が実際のところ世間様にどれだけお役に立てているのかさっぱり分からないからだった。上からの集約的な数字が出ないにしても、取り敢えずお互いの数字を見せ合おう。上から何も動かないのなら下から動かすしかない。そう呼びかけて「まず隗より始める」発表をしたつもりだった。前回のその私の発表に呼応して(と仰って頂いてとても嬉しかった)市内のある病院からの実績発表があった。常に空床を外部へも公開して地域の新生児医療に参画して下さっている病院であったから、なおのこと、感動ひとしおであった。実績の数字は予想より低めで、この陣容で院外からの入院をしっかり受け入れて下さるのが偉大なことだと思った。
京都には大規模NICUが無い。もともとは自分の病院内で発生する新生児医療の需要に応じるために作られた中小規模のNICUが、院外で発生する病的新生児用の病床を僅かずつ捻出して調整しあっている。他の地域でなら大規模NICUの院内カンファレンスで検討すれば済むことでも一々施設間での交渉になる。郊外型のでっかい商業施設が一つどかんと構えて何でも売りさばいているのではなく、町屋にNICUが入って「ぼちぼちでんな」と商いをしているイメージである。京都らしいと言えば京都らしいが。
