院内感染防止

23日土曜日午前中、感染対策の専門家にNICUにお出でいただき、感染防止の観点から種々のご指摘を頂いた。
費用対効果を重視する姿勢が斬新な印象であった。有効性が立証されていない「無駄な」対策を廃し、エビデンス付きの真に有効な対策に費用を集中させよとの方針であった。
例えば、入室時にガウンを着たり帽子をかぶったりイソジンでうがいしたり履き物を換えたりといった手順は、一切無駄であるとのこと。
入室時の手順からしてこの有様だ。入室後の指摘事項が如何に多かったかは読者諸賢のご想像の通りである。
総じて、かけなくても良いところに無駄金を投じている割には赤ちゃんのために本当に必要な費用を掛けていないという、辛い評価であった。
しかし言われることは一々正当なことばかりであった。例えば沐浴槽を消毒剤で掃除するなんて全く無駄でバスマジックリン使った方がよほど綺麗になるなんて言われたら全くその通りである。洗った後をきれいな(医学的に「清潔な」ではなくあくまで洗濯済みできれいな)布で拭きあげてから次の湯を張れとのこと。
自分達の慣れ親しんだ状況に潜む問題点を理詰めに細かく具体的に指摘されると、万全とは言わないまでもそこそこ上手く行っているとばかり思っていた自分達の感染対策が、ひどくお粗末であったと思えてくる。
その一方で、指摘された内容は、「そうだよね僕も(私も)変だと思ってたんだ」ということばかりのようにも思える。実際、先生が他の部署を視察するためにNICUを出られた後は、スタッフの間でひとしきり、いま指摘されたことは内心自分も疑問に思ってたのだという話が続く。
誰かに言われないと変だという声が纏まらないのもお恥ずかしい話ではある。でも、こうして外部からの指摘があって、普段から心の底に蟠っていた疑問や不満が表に出ると、そこから状況が一気に変わり得る。まるで過冷却の水に氷を放り込んで一気に氷結させるかのような、相転移が起こるのである。

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