中1日の当直あけ

金曜に当直、土曜を半日で帰って、日曜日に日当直。
金曜は睡眠時間は細切れに合計3時間ってところだろうか。もっと寝たかな。寝た気がしないけど。日曜の睡眠は3分割で5時間くらいか。
しかしこの日程だと、若手が来てなかった頃は、土曜日も泊まり込むことになってた。土曜日の当直医は本当に泊まるだけの当直で、実際には自宅待機番だった若手の方が土曜日の夜のNICU滞在時間がよほど長かったらしい。まだ、この若手のお陰で、土曜日は家で寝られた。それだけでも良しとするか。
それにしてもこのヘビーな日程はけっこうこたえる。
お陰で昨日の外来では久々に患者さんとトラブルを起こしてしまった。やはり睡眠不足とか疲れとか空腹とか重なると、心構えのギアが普段とは違う段に知らぬ間に変わっている。変速しているのに自分で気付いていないものだから、普段はきちんと説明することを省いたり言わなくても良いことを言ったりして口が災いの門となる。患者さんとは滅多にもめないのが隠れた自慢のタネだったこともあって、睡眠不足に加えてダメージ3倍増ってところ。振り返ってみてもやっぱり私の方が悪かったので反省は至極。例えば前述の当直医が同じことをやってたら後ろ指をさすだろうね私は。厭な性格だと失敗の逃げ場がないね。はは。
そもそもの発端はNICUを開設するときに、NICU当直=小児科一般当直という誤解を内外に広めてしまったことだと思う。いまさら、小児科医が24時間いると市民の皆様に分かってる病院で小児救急を切り捨てることはできないのだけれど、かといってNICU開設時とは比較にならぬほどの重症児を受け入れるようになった今も小児救急を並行して診療するってのは、はっきりとうちのような弱小病院の体力には余ることじゃないかとも思う。
トラブルの遠因はNICU当直医が小児救急を診療しないと誰も小児を診ないということにあり、また小児科医が居るからと小児の外傷まで救急で診ることになるからであり。私は小児科医と言っても初期研修医の2年間は勤務先の救急外来でそれなりに全科学んだから、内心そこそこ外傷も診れるつもりではあるのだが、例えばその救急外来ではアダラート舌下投与なんてやってた時代だから、客観的に考えればそこで学んだ外傷治療もそれなりに遅れてはいるのだろうし。「新しい創傷治療」のHPなんて拝見するといつも目から鱗が落ちますからね。
閑話休題、おそるおそる、カルトスタットとか使ってみてます。ほんと、消毒なんかしなくても傷は化膿しません。洗うことが一番大事。
しかし新生児専門だからとNICUに籠もるのは京都の事情が許しそうにない。三次救急が主体の第一日赤の救命救急センターがコンビニ診療であふれかえって身動きが取れなくなり掛かっていると人づてに聞いた。それなりに自分達ができることをやって、本当に自分達の技量ではあかんわという患者さんだけを高次医療機関に集中するようにせんといかんとは思う。
診療でストレスを感じるときのことを後から振り返ってみると、結局は診療の能力がない(知識がないとか技術に習熟してないとか)が一番の原因であることが、私にはもっぱらであった。たとえコミュニケーションレベルの問題と当時は捉えていても(「診断治療は間違ってなかったんだけどさ、詰まらんことで親と言い合いになっちゃってね・・・」と同僚にぼやくようなケースでも)、後になってみれば、それは診療能力が足りないことを弥縫しようとした結果、それが説明過程で矛盾を顕わにしてトラブルのタネになっていたことが多かった。なんたって自分に診療能力が足りないってことは一番認めたくないことだけに、その兆候は当座は必死こいて無視しようとするんだよね。そして、あのころは俺もまだ未熟だったな・・・と振り返ることが出来るほどに自分の努力なり進歩なりを自信持って語ることが出来るほどの晩期になってはじめて、あれはヤブ医者が起こす類のトラブルだったと気付くのだ。というか、認める気になるのだ。当座は決して認めようとしなかったことも、後になって、自分は内心ではそうと分かっていたと言うことに気付くのだ。
当人が必死になって無視しようとし抑圧しようとしているその当の事項は(私にとっては自分がヤブ医者だと言うこととか)、周りの人間には筒抜けに見て取れると、内田先生の書にあった。「寝ながら学べる構造主義」の冒頭のところとかである。とすれば、私の周囲にとって、私は自分が診れないということを必死に糊塗しようとしているように丸わかりに見えてるのかも知れない。これはみっともない。かなり危ない。
次は中2日で水曜に当直。しかし水曜午後はオフなのに・・・3時間だけ帰って寝てからまた出てこいという当直日程。患者さんが待っているってことは重々承知です。けどね、気合いだけで勝てるなら竹槍でB29を打ち落としてそのままアメリカに勝ててた訳ではないですか。気合い一発太平洋を泳ぎ渡ってカリフォルニアに上陸とか。精神主義ではどもならんということは、やっぱり、実際に当直明けに低出生体重児の分娩立ち会いのあとそのまま外来なんていう勤務やってみないとわからんのかもしれないけれど。