古本屋で見つけてしまいました・・・へっへっへ。読みたかったのです。かねてからの念願でした。
月面に基地を作ったアメリカ人が、約3万年前に破壊され放棄された軍事基地を発見します。その遺跡は、かつて恒星間航行すら実現していた人類の祖先が、強大な敵に破れ放棄したものでした。発掘された資料を基に(その言語は古代シュメール語に類似したものだったそうな)恒星間航行用のエンジンを復元して、人類本来の故郷(アルタイルの第3惑星)へ飛んだアメリカ人たちは、3万年前に星間航法を奪われた祖先の生き残りと出会い、また、祖先を滅ぼした敵と出会うことになります。
平凡なSFならここでリベンジとばかりにその敵と戦うのでしょうけれど、この小説では、その敵に、祖先が星間航法を奪われた理由を尋ねるのです。その敵いわく、自分たちが地球人(性格にはアルタイル第3惑星人ですな)に星間航行を禁じたのは、地球人が力を頼みに征服を目指して宇宙へ進出してきたからだとのこと。それでは宇宙の多様性が失われるので、地球人の祖先は故郷の惑星に足止めされることになったのです。その敵は宇宙空港を焼き払い宇宙船を全て破壊していったのですが、都市を焼き払うことはなかったのでした。
ハミルトンがこの小説を発表したのは1960年です。彼は執筆時点で、50年後に祖国が世界を相手に何をしているか予見していたのでしょうか。ハミルトンはスペースオペラの旗手です。話のついでに銀河一つ吹き飛ばすくらいやる作家ですが、その最晩年にこのような枯れた小説を書いたのはどういう心境だったのだろう。
