12月16日
代診やなにやで予定外の終日外来。若手と二人で68人の子供たちを拝見した。
そろそろ柿が赤くなり医者が蒼くなる時期を過ぎて、冬場の風邪の流行期である。
私はたいてい半日外来・半日NICUという日常なので、終日外来にいることは滅多にない。新鮮な体験ではあった。NICUという懸案事項を抱えず、日がな一日こうして外来をして、朝夕に肺炎や腸炎やの数人の入院患児を回診して、時間外の小児救急は全部断って。そういう世間一般の市中病院小児科のあり方に麻薬的な魅力を感じてしまった。
NICU開設前のうちの小児科はそうしてぬるま湯に浸かっているうちにどんどん業務を縮小してしまったのであるが。かつては院内学級すら抱えた名門であったのに。
一日68人を二人で診るのだからそれほど多い人数ではない。世間に公表しては、同業者は(例えばMari先生とか)失笑するであろう患者数である。
それでも計算して欲しい。午前3時間午後3時間×2人÷68人で一人10分である。
一人10分が例外的・非採算的に長い診療時間なのである。NICUという黒字部門を持たず外来と一般病棟だけの小児科ではこの時間が5分を越えるようでは赤字必至なのではないだろうか。
そんな半端な時間の診療で世間の親御さんはご満足なのだろうか。
医者としては満足できないのだが。赤字部門のくせして偉そうに言うけど。
