去年も1月4日に重症入院があったような記録を残している。こんな重症な子たちが年末年始の人手の足りないときに出生してこられても辛いとは思う。去年は年明け早々さい先がよいとか考えるゆとりがあり、実際去年の1月4日に生まれた子は修正月齢では1歳にならないのにもう歩いていて本当にさい先がよかった。去年は看護師の増員があって(定数がようやく満たされただけかも知れんが)仕事がもの凄く円滑になったのも、この子が呼んでくれた縁かもしれないと思う。
守秘義務でそうそう詳しく書くわけにはいかないが、今回の子たちは(複数形であるってだけで既にもう)去年の子よりもさらに手強い。頑張ってこの子たちが順調に育ったら今年もまた大発展である。
今回はさすがに小児科医が沢山居残ってくれていて助かる。もうすぐ重症確実な子が二人で産まれるって時に知らん顔して帰れるようではNICU業務に協力する気が全然無いって公言するのも同然である。処置はほとんど私と若手の二人で行ったのだが、私らが保育器の傍で片端から出す口頭指示を次々にカルテに書き処方箋の入力をしてくれる人が別に居ると大助かりだった。大病院なら駆け出しの研修医1年目あたりがする仕事だろうかとも思う。だとしたら研修医というのも有り難い存在である。先日の謝礼が欲しい外科の先生は研修医の態度が悪いと指導しないらしいが勿体ない話である。
二人に順々に臍動脈・臍静脈へカテーテルを挿入する。最近私は(皮膚の状態にもよるが)だいたい700gあったら四肢末梢の動静脈を確保してしまうので滅多に臍カテは使わない。滅多にしない処置には苦手意識を捨てきれないものだが、さすがに2回連続で動静脈確保という機会を頂いて開眼した感がある。これまでは臍動脈の断端にカテーテルを入れるのが苦手で四苦八苦していたのだが、本日はディスポーザブルのメス刃を用意して一気に臍帯を切断したところカテーテルの挿入が実に円滑であった。やはり「縫合セット」に入れてあった「クーパー」がなまくらで、臍帯を切断した際に脈管の断端が挫滅していたのだった。
日: 2005年1月4日
新年早々・・・で、救急を何だと思ってるの?
昨日アイドリングにちょうどよい等とふざけたことを考えていたら本日はいきなり超重症のNICU入院が二人あった。準夜帯で分娩に立ち会ってそのまま当直で集中治療。むろん徹夜である。
就業時間を過ぎて当直帯に入り分娩待機していると、近所の開業医の先生から電話が入る。近隣の診療所は夜診をしているところが多く、午後7時くらいまでは患者さんの紹介を頂くこともある。だから全く予想外の電話ではないのだが、しかし、超未熟児の分娩待機中に「おたふくかぜかどうか診てくれ」と言われると、重症度の落差に面食らう。限られた小児時間外救急医療のリソースをプロの立場にあるはずの小児科開業医が無闇に蕩尽してどうするんだろうと思う。もっと小児救急の需要が切迫している地域でもこんな履き違えた紹介が行われているのだろうか。ちなみに、どう診てもおたふくかぜでしたが。