医局のデスク回りを整理整頓する。ひたすら「捨てる」作業である。読まない古雑誌やら、主旨の興味深さと症例調査の手間とが釣り合わなくてほったらかしていたアンケート依頼やら、強引に製薬メーカーがおいていった販促パンフレットやら、片っ端から捨てる。
およそ整理整頓は苦手で、幼い頃から母を嘆かせていた。妻は家の中が散らかっていても姑に何も言われないぶん気楽そうである。今日もゴミ箱が一杯になったのを言い訳に途中でおいて帰ってくる。どうせ医局で座ってられるご身分じゃない(その割によく座ってさぼってるけど)。
なんとうちで一番片づけるのは自閉症の息子だったりする。親がとっちらかした書籍類を本棚に片端から詰め込んでくれる。とうぜん内容なんて知ったことではないので配列は無茶苦茶、有り難いような迷惑なような気分であるが、文句を言えた立場ではない。常々、構造化の出来ていない環境で自閉症児を育てるのは虐待同然と仰っておられる門先生にばれたら激怒を呼びそうである。
