評価する者は誰か

「尊厳死」の法制化で「この死に逝く人の死には尊厳があった」とか「なかった」とか言う立場に想定されている人って、なんとなくですが、「数年来連絡とってなかったけど危篤の知らせを聞いて駆けつけてみました」みたいな縁の方々であるように思えます。
あくまで何となくな感想なので別稿にしました。

悪臭漂ってるのは事実ですから

死ぬときだけ格好良くってもねえ・・・
患者さんたちにとっては、排泄物と口臭の匂いの中で寝かせられているという事実は変わらない。スタッフが「見えにくい努力」を重ねておられること自体があの臭い部屋で寝かされている状況に幾ばくかでも尊厳をもたらすことが出来るかって、全然そうとは思えない。患者さんにとっては結果が見えてこその改善です。それと、個人的には、ウンコの臭さを改善するのにウンコの除去ではなく臭くないウンコをさせる方策ってのは、手間の改善にはなるんだろうけどあんまりそのウンコをお尻にくっつけたままの患者さんの「尊厳」の改善にはならんような気がします。
あの悪臭がうちの病院のケアが愚かなためなのなら院内の経路で業務の至らなさを締め上げていけば良いわけですが、そんな身内の恥だけの事なら身内で処理します。わざわざブログに書くほど興味を引かれません。でも老人全員の歯を磨いて排泄のたびにおむつを替えてという基本的な手間を掛けられる人数比ではないのは見てて分かりますから、これはもっと根源的で大局的な問題だと思ってます。
1対1看護のNICUから見てると想像を絶しますね。
解決の努力が続けられている問題には指摘を避けるのが礼儀かも知れないけれど、みんなで礼儀正しく百年河清を待ってた挙げ句にこういう尊厳死みたような上滑りな議論が沸いて出てきたわけで。御言及のリソースの問題でも、その少ないリソースを改善しようとする法案は出ず医療費の削減ばかりが声高に叫ばれるなか尊厳死の法制化は出てるわけでしょ。法制化に絡んでる人たちって多分そういう病棟の匂いを嗅ぐ縁のある人たちじゃないのではないかと。それと、尊厳死ってのは幾ら推進したところで医療費の増大につながる訳じゃないので、議員立法しようとしても厚生労働省のお役人たちが慌ててやってきて潰しにかかるってわけでもないのでしょう。