南北アメリカ大陸からの麻疹根絶の経過

麻疹は理論的には根絶可能な疾患である。発疹が特徴的で診断に困らない。ウイルスの血清型が1種類だけである。宿主はヒトだけで動物に感染しないし媒介動物もない。不顕性感染も長期の潜伏もない。その他もろもろ。既に根絶された痘瘡と同様の条件がずらりと揃っている。強力な効果を持つワクチンもある。
麻疹を根絶した地域もある。
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5050a2.htm#fig1 を参照してほしい。南北アメリカ大陸から麻疹が駆逐された経過である。1990年には25万件あった麻疹の症例数が、2001年には423件である。25万件の発生数のあった1990年当時の、乳児の麻疹ワクチン接種率は80%である。この折れ線が上昇するにつれ棒グラフの症例数が激減している。
WHOは麻疹根絶のためには95%を確保せよと言う。20人中18人接種ずみとして19人目が接種するかどうかに分岐点があるのである。独裁国家の翼賛選挙の投票率並みの、かなりシビアな数字である。でも、それを実現するほど努力した地域があるのである。麻疹が根絶可能だと立証したのである。偉大な成果だと思う。カート・ヴォネガットは20世紀最大の発明はAlcohlics Annymousであると述べているが、この麻疹根絶もけっこう良い線いってるのではないか。


例えばこのようにして日本から麻疹が根絶寸前になったとする。そして日本で発生するわずかな麻疹症例の半数以上が特定のある一国からの輸入例だとする。日本人は今の米国国民が日本人に対して寛容なほどに、この国に対して寛容になれるだろうか。その国の人が日本に滞在中に自国あてのウェブサイトで、自分は予防接種に関して他人の利益など考えないと公言したとする。根絶しうる麻疹すら他国に輸出しているような国からやってきているくせに、麻疹以外の疾患についても、例えば、当該国の国民が先天風疹症候群など罹患しても知らんとも付け加えていたとする。それを知ってなおこの人やその出身国を日本人は尊敬するだろうか。尊敬どころか、滞在を続けるのさえ困難になりそうな気がするのだが。

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