市民マラソンによる道路封鎖の中で

日曜日の朝から例のスライドを持って学会へ行く。自分の発表を終えたら病院へ帰ってそのまま日当直に入る。入ったなり例によってインフルエンザパニックで外来から抜け出せない。お忙しいかぎりの日曜日であった。
一例報告に今さら手間取ってどうするんだと思って気楽に臨んだのだが、教授が聞きに来られたには予想外で些か驚いた。なにさま教室人事の転勤が厭で、普段から目立たないよう心掛けているから、教授は私の存在すら意識の端にも上らないはずなのだ。でも今回発表した分野は教授の専門との関連は薄いはずだし(それとも川崎病と再生医療って何か関係あるのだろうか)、あれはおそらく俺を見に来たんだろうなあ。そんな悪い評判が立ってるのかな。
会場を出たら市民マラソン大会で会場前の道路が封鎖されていた。病院へ帰るのに難渋した。徒歩とタクシーで病院近くまで戻ったが、最後の大通りが歩行者すら横断させてくれない。都道府県対抗や高校駅伝と違って参加者の人数が半端でないしレベルの格差も甚だしいので封鎖の時間がかなり長い。横断歩道の袂で延々と待つことになった。市としては京都の一番東側の通りを封鎖しても交通にそれほどの影響は無かろうとの思惑かも知れないが、うちの病院はさらにその東側の大文字山麓にあるのでかなり難儀する。スターリングラードのソビエト軍でもあるまいし。
こんな時に緊急の新生児搬送が依頼されたらどうなるんだろうと思う。緊急車両が走ってきたら市民マラソンの方を遮断してくれるのだろうか。病院から救急車を出す経路については、路地裏はかなり歩いてみているから、銀閣寺門前から哲学の道沿いに鹿ヶ谷通りを南禅寺まで抜けて云々のコースは一応頭に入れてはいる。でも途中かなり細い路地を走らなければならなくなるし、下鴨や北区から依頼があったときに南禅寺経由では時間が倍以上かかりそうにも思う。
幸いにこれまでマラソンが邪魔で搬送が手遅れになったことはない。遠回りの十数分が結末に影響するような超緊急の事態と言えば重度の分娩時仮死に限られると思うが、そういう事態ではたとえ最短距離で走れようとも間に合うかどうかは定かではない。やはりここで市民マラソンのコース変更を求めるのは根本的な解決策ではない。米国小児科学会やなんかが言うように、お産の時には新生児の蘇生が出来るスタッフが必ず一人は立ち会うことってのがこれからは大事になってくるのだろうと思う。
迎えに行くにしても、新生児に挿管のできる先生のところへ行くのはずいぶん気が楽である。むろん、そういう先生は重度仮死は大抵事前に予測して母胎搬送されるからお呼びがかかることはめったにないのだが。

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