5000円って言ってたじゃないかよ。何で20000円なんだよ。

日本小児科学会の専門医をとって5年が過ぎて、今年は更新の年。
5年前に試験を受けたときには更新料は5000円と言ってたくせに、いつの間にか20000円になっていた。5年で4倍もの増額。うわー。そういうのってぼったくりとか言わない?
払えない額ではないですよ。そりゃあね。払える額に設定するのは基本でしょうし、最初から20000円でも私は専門医を受験したとは思いますよ。であれば20000円をいま支払うのもやぶさかでは御座いません。ええ。払う人間はそういう風に考えるんだろうなと値上げする側が目論むのを世間では「他人の足下を見る」と称してどちらかと言えば卑しい行為の範疇に分類しているなんてことも、私は全然思ってませんですよ。いやいや。振り込め詐欺の連中も金額設定に際してはそのような考え方もするだろうなだなんて一抹たりとも考えてませんですよ。そりゃあ偉い先生方が正規の手続きを踏んでの増額なんでしょうからね。小児科学会雑誌を隅々まで読み込んでなかった私の落ち度で御座いますよ。はい。更新に必要な研修単位が100単位から500単位に知らないうちに上がってたとか言うよりは遙かにマシですよ。今から半年で400単位なんて無理だし。もう喜んでお支払い致しますです。ええ。無事に向こう5年間の専門医の資格を頂いて帰して頂けるのならば・・・ってそんな危ないお店に入ったことは無いですけどさ、似たような心境なんでしょうね。
ただね、専門医の更新料を5年もたたないうちに5000円から20000円に値上げする学会だっていうのは、事実は事実ですからね。それをどう解釈するかですよね。金額の設定が些かいい加減な気がするんですけどとか、一つの制度の5年以内の経費も見通せない面々が小児医療を語ってて世間様に対して説得力あるんだろうかっていう話も可能かと思いますし、小児科学会がそんなふうだと知った若い連中が小児科を選んでくれるかなと考えるのも可能だと思いますし。いや、滅相もない、私の口がそんなこと言ってる訳じゃないですよ。私はもうしっかり郵便振込で年会費も更新料もお支払いしましたからね。家元、じゃなかった、学会事務局にはちゃんと書類を送らせて頂きましたからね。

うちの看護学生とて馬鹿ではないんですよ

昨日は看護学校で小児科の追試が行われた。今朝出勤してみたら答案用紙が医局に届いていた。封筒がずいぶん厚い。これを採点するのは手間だな。やれやれ。
23人のクラスで追試の対象者が13人というのは多すぎるんじゃないかと思う。23人中2人が不合格ならその2人が反省すべきである。6人が不合格ならクラス全体で反省すべきである。でも13人も不合格とあっては、反省するべきは教える側ではないかと思う。ちゃんと入学試験を課して、それなりのレベルの学生をお引き受けしたはずだ。教育できると思って引き受けた学生の過半数が、最低限とされるレベルにさえ達していないのである。
看護学校の小児科の講義は、まず小児科常勤医が4人で「症候と治療」を分担して行う。その知識をふまえて「小児看護」を看護師である講師が別に語る。今回は「症候と治療」のテストの100点を25点ずつ4人で分担して試験を行ったのだが、うち一人の採点が極めて辛かったらしい。過半数に零点がついたと聞く。
ちなみに私は不合格者を一人も出しませんでしたからね。
それってあんたの講義をクラスの過半数がひとっことも聞いてなかったってことかい?確かにうちの看護学校は「偏差値の高い学校」ではない。どっちかと言えば滑り止め学校かもしれない。しかし、講義をしたり卒業生とNICUで働いたりしての感想であるが、学生は決して向学心に欠けるわけでもないし怠惰でもない。多少純朴すぎて打たれ弱い嫌いはあるにせよ。
自分が教えた内容のうち、このくらいは分かってるだろうと推定される内容を問うて、理解度を確認するのが試験だと思う。合否の境界はなんぼ何でもこの位は分かっててくれないとという最低ラインにおくものだと思う。それで試験してみたら大半が不合格だったというのは、それは学生の理解度を見誤っていたということである。自分が想定したほどには学生が分かっていなかったと言うことである。
自分が語った内容を相手がどれほど理解しているかの推定をこれほど甚だしく誤るというのは、臨床医としての基礎的なコミュニケーション能力に問題があるのではないかと思う。
看護学校の小児科の講義など、内容においては病児のご家族に語る病状説明と大差ない。看護学生にすら理解させ得ないのでは説明の力が足りないし、相手が分かってないにも関わらず理解されたつもりになっているのはコミュニケーションの力が足りない。そういう人が日々臨床の場でどうやって病状説明を行っているのかと思う。前途を憂えるべきは看護学生ではなくて当院小児科である。