娘をSFファンにするには

最近あんまり魔法とかファンタジーとかいうつまらん非科学的なものを読み過ぎる。夜も遅いから寝ろと叱られてベッドに本を持ち込み暗い中でこっそり読んだりしているから(お父さんはお見通しだよ だって昔やってたことだし)目まで悪くしている。世間にはSFという素晴らしい文学ジャンルがあるというのに、因果律の破綻した物語世界に耽溺した挙げ句に眼鏡っ娘寸前までなってしまってどうするというのだ。そもそもネモ船長の慟哭を知らずに「小五郎のおっちゃん」の脳天気な職業生活ばかり見ていては人生とか「おじさん」とかに対する正しい尊敬の態度が涵養されない。掃除道具にまたがって空を飛ぶ話で空の大きさを測っていては軌道エレベーターなんて想像もつかんだろう。ついでにあのジブリ映画を見た後は魔法使いごっこに付き合わされたにゃん黒が相当迷惑そうな顔をしていた。
まあ、いわゆる「目を悪くする生活習慣」が目を悪くする主因だというエビデンスなんてないらしいけど。けっこう遺伝的に決まってるとか。「小児科診療」で読んだ。 でも妻は先だっての私の眼鏡の修理代でけっこう怒ってるから娘が夜中にこっそり本を読んでるなんて知ったら何が起こるか分かったものじゃない。
最近「プラネテス」のDVDを見せたら気に入ったようなのでほくそ笑んでいる。恋愛物語として楽しんでいる気配もあってまだ油断はできないが。娘もいずれは空中に放り上げた骨が突然に宇宙船に変わる映像の美しさがわかるようになるだろうか。「美しく青きドナウ」を聴いたときに脳裏で優雅に円舞するのはドッキング前でお互いに回転のタイミングを合わせている宇宙船とステーションでなくてはならない。うん。やっぱり。
でもSF読みの眼鏡っ娘なんて世間でやっていけるんだろうかという心配はまた心配であるんですけど。
お父さんの幼い頃はキャプテン・フューチャーの放映がどれだけ待ち遠しかったか。「・・・だが、人は彼を、キャプテン・フューチャーと呼ぶ・・・」というナレーションに重なるように「子どもの頃は・・・」と始まるテーマソング。ちなみに最初のヒデ夕樹さんの声のほうが後のタケカワユキヒデさんより好きだった。タケカワさんのハスキーな声はどうも夾雑物まじりのようでストレートに心に響かなかった。なにより彼がテーマソングを歌うとどうしても美しいヒロインが出なくてはならない気がしてくる。メーテルとか三蔵法師(夏目雅子の)とか。なんかジョン・ランドールでは子供心に格落ちだった。キャプテンにはいつも振られてるし。
スターウルフはキャプテン・フューチャーとどっちが先だっただろう。原作者が同じエドモント・ハミルトンだってのは、中学生になってハヤカワSF文庫なんて読みあさり出したから知った。ついでにさっき検索をかけて知ったのは、スターウルフのテーマソング「青春の旅立ち」を歌ってたのもヒデ夕樹さんだった。うわ。なにか私の幼い頃の音楽体験は凄く狭いところで完結してるような気がしてきた。キャプテン・フューチャーのテーマソングは大野雄二さんの作編曲だった。ルパン三世の音楽をやった人だ。頭に残るわけだ。