宴席は苦手

新人歓迎の宴席があった。
私は自宅待機番だったが、新しく配属になった若手医師と看護師の歓迎会であったから顔を出すことにした。会場は呼び出しがあれば応じられる距離にあり、他の医師のご自宅よりずっと近い。無論、酒は飲めない。自分の目の前を自分には手の届かないビールが行き交うのは大変に不愉快で、誰にも注がず料理ばかり食っていた。大変に旨い中華料理でそれだけは救いであった。
今回はNICUと産科病棟との合同の宴会だった。NICU単独の宴席とは雰囲気が異なる。産科病棟のナースたちはNICUナースよりも自分の「おんな」を前面に出してくる。服装も大胆なら喋る内容もかなり大胆。先生今日はもう病院では何も起こりませんよとビールを勧めようとする輩さえある。勧められてここで飲んでもし何かあって下手をしたらクビになるのは俺だよ。笑って断ったが少々腹が立った。まあ勧める方はかなり酔ってるってことで情状酌量にはしたが。NICUナースの宴会出席率は産科合同だとがたっと落ちるのだが、恐らくこの雰囲気の違いが主因なんじゃないかなと思う。
新人たちが芸をするというので料理がまずくなった。私は素人芸が大変に苦手だ。高校時代に吹奏楽部でできもしない音楽に手を出した罰かも知れない。痛々しさが耐え難い。耐え難い芸でも面白がっているふりをして笑って拍手してやれば良いのだろうが、私の家では暇つぶしバラエティのTV番組はほとんど見ないので、彼らの演じる「芸」のネタが分からず、彼らが何を演じているつもりなのか、どこで受けて欲しいと思っているのか、とんと分からないときた。面白くもなく理解も出来ないものは受けようがない。息子も交流学級ではこういう思いをしてるんだろうか。
宴会のさなかに知らせがあり、病院に戻ったところで極低出生体重児の分娩立ち会いとなった。むろん素面のNICUナースたちが出迎えてくれる。自分の居るべき「正しい場所」(@内田先生)に戻ってきた感があった。

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