プラネテスと自閉症関連

「プラネテス」には幾人か「それっぽい」人が登場します。
コミック第4巻に登場する「男爵」はAsperger症候群なんだろうなと思います。デブリ回収員として宇宙に出てくるレベルの知性を持ちながら対人関係がまったくダメで、「ともだち手帳」を携帯して『教訓361 相手の目を見ながら話す』『名前を覚える』『女性に年齢を尋ねない』『食べかけを他人にあげてはいけない』などなどの「教訓」を書き込んで覚えようとしています。「友達ひとりもいないの」ときかれて「わからない・・・口頭でさえ今まで確認をとれた事がないんだ」と答えてしまいます。
男爵は自分を、もともとは地球外の「レティクル人」だったと自称しています。レティクル人はテレパシー器官をもっているので、同じ器官を持つもの同士なら意思や感情を表に出さなくとも相手に伝わるのだそうです。彼は銀河連邦調査局辺境文明監察隊の一員として、宇宙進出を始めた地球人たちを軌道上から監視するべく地球にやってきたのですが、長い任期の退屈しのぎにミステリーサークルとかキャトルミューテーションだとかの悪戯をしすぎて、体を地球人に作り替えられ地球に置き去りにされたとのこと。
その彼が言うには「この星系はまだ銀河連邦の一員じゃない。だから他星人や銀河共通文化に対する免疫がない。つまり、僕のような者がこの星系で友愛を育むためには、まず君たちのコモンセンスやモラルを学び受け入れないといけないって思うんだ」とのこと。
そういう彼がデブリ回収員として宇宙船乗りになれてるってことは、現代は就労にも苦労しておられるAsperger症候群のひとたちもこの時代にはそれなりにやっていけてるってことかと思います。宇宙船乗りになって以降も社会の基本的なルールを「覚える」のに独り手帳に書き込んで勉強をつづけているのには、もうちっと何かこう上手くできるようなデバイスが開発されていないものかなとも思いますが・・・
もうひとかた、田名部愛という極めて重要な登場人物は、幼少期に全く言葉がでていませんでした。
公式ガイドブックには、このことを指して「彼女は捨て子で、幼少期は自閉症だった。」とさらっと解説しています。「自閉症だった」とあたかも自閉症が完治するかのような過去形の表現はカチンと来ます(例えばドナ・ウイリアムスの著書の邦題が「自閉症だった私へ」というのはかなり物議を醸しています)。これはガイドブックの独走かと思います。原作には養父母が「医者はなにも異常がないといっている」云々の会話をしていますが、まさか2070年代に自閉症の診断がつかんということはないでしょうよと思います。症状もなんか違うような気がする。

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