医療過誤にまつわる訴訟で、原告の方々には、訴えたのは真相を知りたいからだと仰る人がいらっしゃる。いらっしゃるどころかかなりの割合に上ったはずだ。
何が起きたかすら分からない。それを解明しようにも今の日本には責任の所在を問い損害賠償を求めるという文脈でしか真相解明に至る道筋がない。従って訴訟を起こす以外に道がない。そういう声を聞いたことがある。
真相解明こそ関係者の皆が希求していることなのではないだろうか。責任を追及される立場にある医師や関係者にとっても、いったい此奴は麻疹と蕁麻疹の区別が付くんだろうかと訝しくさえ思えるような素人すじからあることないこと言い立てられ書き立てられるのよりは、相応の知識を持った権威が中立の立場で調査に当たってくれるほうが善いに決まっている。この権威を否定するのは自らの権威を否定することになるような、斯界のメインストリームによる調査が、もっとも望ましい。
そして心ある医師にとっては、医学的に否定のできない形で、今回の一件は君の行動がこうであったら患者さんの予後はこうなっていたという指摘を受けること、これ以上に「応える」処罰はないようにも思う。いや、そういう医師でありたいと思う、と申すべきだろうか。
