大丈夫の言葉が欲しくて来院する人が9割以上。それは当然

小児科外来は時間内も時間外も「大丈夫」の言葉が欲しくて来院する人が圧倒的大多数。
それはもう、プライマリ・ケアに近いところに居る人間ほど身に染みて分かってることで、今さら語るに落ちる内容だからあんまり言葉にしないんだけど、病院は病気を治すところだと思ってる人にはけっこう意外なことなんだろうなと、時にこの事実に戸惑う人に出会うたびに新鮮な気分になる。
小児科は唯一病気が
相応の権威を持って「大丈夫」と申し上げる、この言葉そのもに言霊的な治療効果があるんじゃないかと思うこともある。むろん大丈夫じゃあない子に大丈夫とは言いませんよ。それなりの診断手段を尽くし、説明を尽くした上での「大丈夫」という結論の一言を心掛けてます。うちの小児科で一番採血をし点滴をし再来予約をマメに取るのは私だと思ってます。一方で単純な感冒の子に「念のため抗生物質」を処方することが最も少ないのも自分だと思ってますけど。
闇雲に「大丈夫」と申し上げてるつもりじゃなくて相応の勉強はさせて頂いてるつもりです。例えばメジャーリーグの強打者が打撃の秘訣を聞かれて「来たボールを打つだけじゃないか」と答えたとして、その「来たボールを打つ」というシンプルな言葉にどれほどの彼の努力と才能が籠もっているかというような、そういう重みを私は医者の「大丈夫」という言葉に籠めたいものだと思います。