小児救急と偉そうに言うけれど

小児救急やってますって偉そうに言うけどお前ら小児科医がやってるのって「小児内科救急」だろ!という他科からの苦言があるそうだ。外傷を診てないじゃないかと。幼児の死亡原因のトップは不慮の事故なのにと。小児内科疾患で呼べばこんな大したこともない事で呼び立ててと迷惑そうな顔をするし、かといって本当に重症なときに呼んでみればオタオタするばかりで危なっかしくて見てられないし、何やってるんだと。
実際、そう仰られればそのとおりでして、返す言葉もない。米国の小児救急のテキストなんて半分くらいは外傷の治療法で埋まってるんですけどね。日本の小児救急を巡る議論といえば、夜中に鼻炎の子なんて診たくないやっていう愚痴レベルで、確かにそんな診療は疲弊を感じる業務だけど、じゃあ夜中に交通外傷で硬膜下血腫と血気胸・腹腔内出血なんて診たいのと言われたら、済みません診れませんと私も謝ってしまう程度の診療力だし、私一人が(もし仮に)診るからって言えても、うちの病院にそんな子を搬入して頂いても病院の態勢が追いついてないし。だったらそんな詰まらない半端施設に貴重な(いちおう貴重な)マンパワーを割くなよって言われたらごもっともで。今日も京都で当直している小児科関連の人数を一カ所に集めたらかなりの救急センターが出来上がるはずなのに、実際には各区に診療所が細々と並列営業している程度。
でも人数が寄ったら小児の多発外傷を実際に君も診れるのと言われたらやっぱり辛くて。初期の「ER」でジョージ・クルーニーが演じてたようなタフな小児科医になるにはそれなりの診療力も必要で。いま実際に京都で小児科医をあつめてみても、結局は夜間に鼻炎を診る外来が2診3診4診と並列になるだけのような気もして。

こういう主張も

前記事の続き。
タカタのウエブサイトのほうが、何となく、本質的なことを語っているような気がする。
偉い先生のコメントも英文小児科雑誌の引用もついてないけれども。
ちなみに私自身は「進行方向へ背を向けて斜め45度」に娘を座らせてました。
息子はもう大きかったので選択の余地無し。

それで結局どっちが正しいんだろう

前回のコメントに触発されて、ふと放置していた疑問を思い出した。
結局、チャイルドシートの姿勢はどういうのが一番良いのだろう?というもの。
チャイルドシートの形状は大まかに分けて二つ。水平に寝かせるものと、45度ほどに傾けるものと。メーカーも大まかに分けて二通り。アプリカを筆頭とする乳母車系と、タカタなどシートベルト系と。最近自分では全く車を運転しないので最近の傾向は知らないが、前任地で否応なしにマーチなんて運転していた時分には、アプリカは水平に寝かせよと主張し、タカタは斜めを主張していた。
当時の「暮らしの手帖」のレビュー記事で、各社のチャイルドシートにダミー人形を寝かせて衝突実験をしていた。水平寝かせ式のチャイルドシートからは人形がことごとく放り出されていた。時には前席のヘッドレストを越えて飛ぶこともあった。この記事では圧倒的に斜め式が安全であった。
アプリカは椅子型(斜め型ですな)に赤ちゃんを座らせると酸素飽和度が低下する(「恐れがある」ですね、はいはい)としきりに強調している。アプリカのウエブサイト(衝撃的なトップページはこちら)も饒舌なわりに衝突時の事はほとんど語られてない。でも車を運転していたら衝突事故を起こす/起こされる「恐れがある」ものだし、そのときには赤ちゃんも放り出される「恐れがある」と思うんですがね。チャイルドシートの主目的は衝突事故時に赤ちゃんを守ることだと思うんだけどなあ。
いまだに、結論はよくわかりません。