専門医と呼んで頂けるために

日本周産期新生児医学会専門医の研修年次報告書を提出する。昨年度分が未提出だった。私と同じく報告書をほったらかしていた人が全国的に多かったらしく、昨年度分は今年の3月までに出せば咎めないよという通達が回っている。
こうして書くと随分だらしないお話のように聞こえるが、しかし「1年間に気管内挿管を何例しましたか?」などと真顔で聞かれたら脱力の一つもしようというものだ。そんな日常手技をいちいち数えて日記に付けてる人なんているんだろうか。仕方ないので退院統計を眺めつつ記憶の底からひねり出して、何とか思い出そうとする。12件までカウントしたところで放り出してしまった。お陰で年間に気管内挿管を12件しかしませんでしたなんて、情けない研修報告書が出来上がってしまった。
専門医制度などなかった時分から、自分の専門は新生児だと思い定めて勉強してきた俊英は全国に数多いだろうし、私のように他に能があるわけでなし偶々ご縁を頂いた新生児領域なりとも何とか人並みにというささやかな人らもまたあるだろう。俊英たちはもちろん、ささやかな私などもまた、なんぼ何でも「平仮名読めますか?」みたいなプリミティブな質問をされたら何だか冷めてしまうものではないかな。私など能力がささやかな割に自尊心は奇妙に高いからなおさらだが。
今さら専門医なんて呼んで頂かなくてもいいよと無視しておれればそれも良いのだが、あんまり長いこと専門医試験の合格者が出なかったらうちの病院の「研修指定施設」の認定が取り消されてしまうので勤務先に迷惑がかかる。ついでに大学の医局にも。なんだか、新しくできたばかりの義務教育制度に付き合うためにいい年して小学校に通う羽目になった大人とでもいうところだ。

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