搬送に関しては一言申し上げさせて頂きたい

*minx* [macska dot org in exile] – 障害についてちょっと意識調査というか、クイズです
「神は細部に宿る」が信条の私としては本件に関して枝葉末節をつついてみたいと思います。
普段から新生児搬送なんてやってますと、搬送用保育器を救急車に載せて据えるのは日常の業務なわけですが、搬送用保育器は載せてブレーキかけるだけでは危なくて走れません。保育器のフレームに幅を合わせた強力なフックで救急車の車体に対してがっちりと固定しないと、保育器は必ずひっくり返ります。
その普段の経験を敷衍して申し上げれば、鉄道輸送でも、客席が取り外されただけののっぺらぼうな床に車椅子を並べただけでは、危なくて、列車はとうてい走れなさそうに思います。新生児科の感覚では、座席を外した後にはどうしたって車椅子の固定具をつけなきゃならない。いや、別に固定具なんていらないよってのなら通勤用の詰め込み車両を持ってくればいいじゃないですか。乗降口も広くてたくさんあるし段差もないしでけっこう使えるんじゃないかと思います。走れさえすればね。
そこまで手間をかけて車両に細工するなら、わざわざ元に戻すまでもなく、いったん作ってしまった車両は車椅子の団体様専用として保管しておく方が財産になると思います。鉄道雑誌なんて見てると、特定の使用目的に特化した小数の車両ってけっこういろいろありそうだし、車椅子の団体様専用客車をこの機会に保有しても罰はあたらんでしょう。財産になるものなら鉄道会社が費用を負担してもよいと思います。これが問1の答えです。
ですが車椅子での旅行って、車椅子に座り続けるほうが快適なのでしょうか。使用者の身体の形(脊柱の側彎とか)に合わせた「座位保持装置」としての車椅子ならまだしも、病院で見かける通常の車椅子ってあんまり座り心地がよくなさそうな気もします。なんとかこのお客様に通常の座席(あるいは幅が必要ならグリーン車にでも)で旅行して頂けるような工夫をするのが結局は費用対効果がもっとも高くなるような気がします。お客様は快適・鉄道会社も費用がかからないということで。
もう国鉄が記憶の彼方になっちゃったので国有か民営かでの区別はよくわからないけど、例えばJR東海とちほく高原鉄道とに同じ基準をあてようとするのも酷かと思います。JR東海なら特別車両を整備するのもよかろうけれど、ちほく高原鉄道ならダイヤを工夫して人手もあつめてなんとかキハの座席にお乗り頂くってことになるんじゃないでしょうか。あるいはJR北海道が特別ディーゼル車を作ってちほく高原鉄道に乗り入れるってのもいいかな。そういう、金とか知恵とか言った有形無形の費用を分担するのになら、国有も民営も区別はないと思います。