いや、うちのNICUの看護師に岡本太郎を知らない娘が居ましてね。
副主任が驚き呆れているので何かと思って首を突っ込んでみたら、この子は岡本太郎をしらないらしいと言います。実際、本人はきょとんとしています。
驚きました。
太陽の塔って見たことないの?
「芸術は爆発だ」って言葉を聞いたことないの?
そりゃまあ経験は浅いけど最近はずいぶんしっかりした仕事をするようになった子だし、新生児の看護にはとりあえず岡本太郎に関する知識は必要ないけれども。でも基礎的教養に関してこういう予想外のところにぽかっと穴が空いてるのを見つけたりすると、それが世代の差だと割り切っていいものか、あるいはひょっとしてもっと大事な事項に関して、共有してるはずの知識が抜けてやしないかと警戒を怠らないようにするべきなのか、ちょっと考えてしまいました。
別に岡本綺堂が半七捕物帖の作者だなんて知ってろと要求してる訳じゃないんだけどねと思いましたが、考えてみれば岡本太郎の没後20年近くたってるし、看護学校の卒後間もない年代の彼女には、もう過去の人なんでしょうね。彼女にとっては太陽の塔だって東寺の五重塔とどっちが古いのって感じなんだろうし。
まあ、かくいう私にとっても、岡本太郎はまずギャグのタネとして意識されましたし。その作品に触れて実は凄い芸術家だったんだなと知ったのは、実はずいぶん後になってからでした。あんまり若者のことを笑ってはよくないかもしれない。
