ラッキーガールが辞める

うちのNICUから今月で退職する看護師のところへ、彼女がプライマリーナースとして受け持ったこどもたちが親御さんに連れられて次々と挨拶に来る。いったい看護師の人事なんていう情報をどこから聞きつけてこられるのやら、彼女の退職も外来で親御さんに教えて頂いたような次第である。
その来る面々がみな錚々たる面々であった。医学的には重症だが、経過の転機で不思議に良い方へ良い方へと転んで元気に退院した子ばかり。むろん、上手くいったんだからこういう時にも挨拶に来て下さるんだろうというバイアスはあるだろうけれども、来て下さった方々のお顔を拝見するだけでも、この看護師の仕事の良さに加えて、どうしても、彼女のラッキーガールぶりを見直さずにはいられなかった。なんだか弁天様に逃げられたような気分である。
辞めて故郷に帰るらしいが、地元での再就職先はうちより余程大きいNICUを抱えた病院だということで、もう引き止めようがない。むしろ、程良く腕を上げた時点でしがらみなく故郷へ帰ってさらに職を深められるのが羨ましくさえある。私だって大村湾の海の色が恋しくない訳じゃないのですよ。
色紙に寄せ書きを書く。ラッキーガールでしたと書こうとして、待てよそれじゃあ実力がなかったと言わんばかりじゃないかと思ってしまう。運も実力のうちなんていう思想を共有できるほどには、彼女がうちにいた期間は長くなかった。結局は意気込んで書き出したメッセージを当たり障りない結論に落としこもうとして、支離滅裂になる。寄せ書きは苦手だ。こういうときに周囲と調和の取れた適切なメッセージを型どおりに書けるってのもまた、私に欠けた資質なのだろうと思う。

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