医療ミスで脳に重い障害を負い、民事訴訟で勝訴した大阪市内の元開業医の男性(79)が加入する「大阪府医師国民健康保険組合」が、男性に給付した傷病手当約240万円を「加害者が負担すべきだ」として、当時の主治医に求償手続きを取ったことがわかった。(2006年3月16日14時45分 読売新聞)
そういうもの、なんでしょうか。そういうものと納得するのが、現代に求められる医師の覚悟というものなんでしょうね。厳しいです。むろん、交通事故の加害者は被害者の医療費を負担するじゃないかと言われると、返す言葉もないように思えます。交通事故や傷害事件やと医療過誤とが同列なのか?とも思えて釈然ともしませんけど。
福島県の産婦人科医が逮捕起訴された事件以来、治療の結果が思わしくないときは医学的考察を抜きに医者の責任とする風潮が強まる中で、今度は医療過誤の治療費は主治医もちということになれば(全額負担となればものすごく大きい額です)、医師として生きていくことが今後ほんとうに可能なのかどうかと思えてしまいます。疑心暗鬼とは思いますけれど、例えばの話、あと10年もしたらNICU退院後の極低出生体重児に生じた脳性麻痺の治療費は全額NICU担当医負担という時代が来るかもと、一抹の不安を覚えます。そうなった時に、若い医師を新生児科に勧誘できるかどうか。あるいは、例えば娘が医者になりたいといってくれたときに、激励してやれるかどうか。かなり気弱になってしまいます。
自動車を運転する人がみな自賠責に強制加入になっているように、今後は医師も医療過誤対策の保険に加入することが必須となるでしょう。私も実は入ってはいるのですが。しかし今後の風潮次第では今の自分の設定で足りるかどうか分かりません。保険料はどんどん上がるんだろうな。家のローンの一軒二軒ではすまない額を入れることになるでしょう。収入の大半を保険に持って行かれるかも知れない。米国では年間数百万円相当の保険料もざらだと聞きますし。
一昨日にウインドウズがアップデートしてたんですね。どうりで日本語変換が馬鹿になったと思った。例の如くにATOKからMS-IMEに勝手に変更されてたんです。それで、この原稿を書く時にも、いしゃと入力したら医者じゃなくて慰謝と変換してきました。お慰謝さん、か。ゲイツさんの冗談はきついぜ。