今日はお休みでした

土曜日が祝日だと救急が大忙しになる。通常通りの診療をやっているとのご期待の元で御受診の皆様が、「祝日につき休診」であることに病院受付ではじめてお気づきになる。そのままお帰りになる方がどれほどあるのかは分からない。せっかく来たのだからと救急を受診される方々で、今日も、普段の休日診療以上にカルテが山積みになった。
私は自宅待機にあたっていた。当直医がNICUと病棟の回診を終えるまでは、病院へ出て休日外来をこなす決まりになっている。午前9時から10時半ころまで外来をして、以降を若手に引き継いで帰ってきた。引き継ぐちょっと前くらいからカルテの山が高くなり始めた。当院の午前中の外来受付締切は11時だから、それに間に合うようにお出でいただいた方々なのだろうと思った。多少は加勢して山を減らしてから帰るのが人情かとも思ったけれど、実は私自身が昨日以来激しい鼻汁と咳・喘鳴を生じており、問診中にも激しく咳き込んでは患者さんに謝る始末であったから、早々に帰ってきた。午後は寝たきりだったがさっきから発熱している。
今回は連休を利用して新しい病棟へ引っ越す計画である。外来の診療設備も、コンピューターやカルテ庫をはじめとした医事課業務資源も、急性期病棟やNICUや分娩室や手術室や、そのほか病院の主力設備がほとんど移動することになる。とうてい責任持った診療ができないので、時間外救急も含めて全面休診である。
しかしかなりなトラブルが予想される。連休は全面休診させていただきますとは、4月初頭から掲示はしてきたし私も受け持ちのこどもたちにはたいがい申し上げたつもりだが、それでもどれほど周知徹底されているか不安である。今日が祝日だとは昭和時代から日本国じゅうに共通理解のことだが、それでもたくさんの方々に受診して頂いた。まして当院だけの局所的事情で休診だなんて、どれほど皆様に周知頂いていることか、なんとも予測できない。
まあ4月からの掲示ってのも遅すぎるとは思います。いい加減に掲示出しておいて下さいよと、救急に実際に携わる我々からせっつかれて、初めて掲示がでたような気配もあります。ただ、病院上層部には、工期がそれほど予定通りに進むのかどうか一抹不安もあったのだとは思います。
しかも、これまで当院は救急を閉めたことがない。休診と掲示していても、「そりゃあ連休だし休診は当然だけど時間外はやってるんだろ」という誤解を頂く可能性は大いにある。あるいは「正月以来の帰省だけどこどもが熱を出して」といった、長期にわたってご無沙汰であった方々、さらには「旅行中に具合が悪くなって宿泊中のホテルで聞いてみたらここが救急やってると言われた」という方々などなど、色々と仕方のない事情は想定できる。そういう状況で、救急も含めて全面休診というかつてない状況に、どれほどのご理解が頂けるか、心許ないことではある。
ここまで書いたら病院から呼び出しがありました。帰ってこれるかどうか分からないからとりあえずアップしておきます。

内覧会 VIP, IP, P

ぼちぼちと復活してきました。先週末に新病棟の内覧会があって、お出でいただいた方々に新しいNICUをご覧になって頂くうちに、気分がほぐれたように思います。なにより娘が友達をたくさん連れて得意満面でやってきたのが良かった。NICUに小学生が入るなんて普段はまずあり得ないことですから、小学生相手の保育器の説明なんてのも意外に新鮮な体験でした。まだNICUの備品は大半が旧館で稼働中なもので、新しく買い足してもらった保育器が二台あるきりで、ちょっと寂しくはありましたが。
内覧会は招待客部門が午前11時にテープカット付きで開始したらしいです。教授とか院長とか色々の肩書きのついたVIPの方々には、マンツーマンの「エスコート」をつけてたようです。君には誰それのエスコートとか割り振られた医師もありました。彼らには招待客一覧表のうち十名ほどに赤ペンでマークを入れて、”priority”とか書き込んだものが渡されてました。傍からのぞき込んでみると、その赤マークと”Priority”の手書き文字が各々いかにも下品で、一枚で二度うんざりの文書でした。エスコート付きのVIPと、エスコートまではいらんだろう扱いの”IP”の方々と、当院の諸先生方と、14時にはどっかのホテルでパーティだそうで、内外の御一同そろってどこかへ引き払ってしまわれました。
私は土曜午前のNICU担当の通常勤務に加え、午前遅くに所用があって外来に寄ったら紹介患者さんの外来診療を命じられ、その時間は旧館でばたばたしてました。外来担当医そのほか私以外の面々はパーティに行くので、入院になりそうな患者さんを拝見するような時間がないんだそうで。まあパーティの受付とかホステス役とかもやらされるんだから仕方ないやね。午後からは当直入りなので私一人だけパーティ免除です。ちなみに内科当直は非常勤の先生なので常勤医でパーティに行かないのは私一人らしい。やれやれ気楽でいいやと、新館の様子を見に行ったら、14時から16時の一般部門が開始したところでした。仕事にかこつけてお偉いさんの相手をきれいにスルーした恰好になりました。まあ、パーティで偉い先生にお愛想を言うなんて私には到底出来る芸当でなし、適材適所ではありましょう。
それにしても、一般の方々はVもIもつかない”P”扱いなんでしょうかね。私なんぞに案内させるくらいだから。キリスト教精神って何処へ行ったのやら。ナザレのイエスに知れたらさぞや辛辣な皮肉を頂戴できたことでしょう。

しばらく休むことになるかもしれません

しばらくお休みを頂くかもしれません。職場のいろいろで落ち込んでいます。鬱憤晴らしにその事情をあれこれ書こうかとも思ったけど、やっぱり書くべきでないたちのことなんで自制してます。ただこういう時は普段書いてることを書く力も出ません。
赤ちゃんやご家族が不幸になる質の事件がおきたわけではありませんので、その方面はご安心下さい。

適切に蘇生を始める

Neonatal Resuscitation Textbook
American Heart Association American Academy of Pediatrics Committee on Fetus and Newborn Dana Braner / Amer Academy of Pediatrics
ISBN : 1581100566

“At every delivery, there should be at least one person whose primary resposibility is the baby and who is capable of initiating resuscitation.”(P.1-14)

新生児の蘇生でもっとも大事なことは、「適切に開始すること」である。挿管が出来るとか点滴が入るとかは、いわば些末な手先の問題である。より大事なことは、この子には気道確保が要るとか点滴が要るとかいう判断が、的確かつ迅速にできることである。むろん、要ると判断したが実技は出来ないでは話にならんから、些末な手先の問題は確実にこなせねばならぬ。しかし、要る状況だとすら判断できないようでは、話にならなさのレベルが違う。
挿管挿管と研修医は血眼になるが、気道確保の手技は経口挿管が最も簡単である。バッグ&マスクのほうがよほど難しい。これは大方の新生児科医あるいは麻酔科医の諸先生方には御同意頂ける見解だと思う。
で、この判断であるが、けっこう奥が深いと思う。私も、新生児科を勉強して、完璧に理解できたような気になった時期もあり、また分からなくなった時期もあり。けっこうきつい状態から、見る間に回復してくる赤ちゃんもある。そういう子に立ち会うと、要らぬ手出しをせず赤ちゃんの自己回復を待つのが名医なような気になる。一方で、最初の30秒に下すべき決断を、うだうだと2分3分迷ったあげく、回復不十分で後手後手の蘇生になって、かっこうわるい立ち会いだったなあと、後から激しく悔やむこともある。いや、それでも赤ちゃんは見事に回復してこられるから、大事には至らなくて済んでるんですけどね。でも、幸運が味方したよね、とは思う。
すべての分娩には赤ちゃんに専心するスタッフが最低1名以上立ち会うこと。このスタッフは赤ちゃんの蘇生を適切に開始できる人物であること。この、最新の新生児蘇生テキストに記載された要請が、今後のスタンダードになっていくのだろうと思う。そうなったら、お産の時に、「赤ちゃんの処置をして下さる方は誰ですか?」と聞かれて、お母さん自身のお世話をする助産師や産科医師が「私らが一緒に診ますよ」と答えるのでは不足だし(だって母子ともに危ない状態ってのもあり得ますからね)、重ねて「赤ちゃんが仮死だったらその人は蘇生がきちんと出来ますか?」という質問をされるとしたら、看護師さんを一人増配するくらいでは信用されないだろう。
でもそういう時代になるのは必然だと思うのだ。分娩時事故で産科医が訴えられるたび、「世間ではお産が100%安全で当たり前だと思いこんでるのか」と、医療側はいらだち混じりにぼやいてる訳だし。ゼロでない確率で分娩時事故は起こるものだと世間に啓蒙するのなら、「そしたら先生のところで/私の分娩でその事故が起きるとしたらどういう対策が打てますか」という質問が返るのは当然のことだろうと思う。

くたびれてひねくれる

今日は新築の病棟の引き渡しだったらしい。重症の赤ちゃんに救急外来で挿管して他院へ搬送しての帰り道、新館のロビーに病院の偉い人がたくさん集まっているのが見えた。
夕方の回診が終わって医局に戻ってみると、医局秘書が妙にはしゃいで、中を見てこいの何のと医者に誰彼となく喋る喋る。昨日朝の当直入りから緊急搬送が入るのと出るのと2回、どうやら全国平均の数倍の人数は診たらしい救急外来、引き続いて月曜朝の一般外来。へろへろにくたびれた頭に正直、こういう陽気さはやかましすぎる。震災の2月に神戸から所用で出てきたときの、京都の野放図な平穏さに憶えた違和感を、久々に思い出す。
不当な怒りだとは重々承知ながら、週休二日の人に差しで口をきかれるとカチンと腹が立つ。こちとら4月の1ヶ月間で終日病院に出る義務のない日は2日と30日だけなんだけどね。
若手はまだほんとに若くて素直だから、医局秘書に誘われて新館を見物に行くことにしたらしい。院内PHSを呼び出してきて、先生も行きませんかと誘ってきた。人懐こい奴だと思った。どこから入れるんだと聞くと、玄関でも渡り廊下でも良いですけど履き物を替えなければなりませんと答える。新館って二足制だったか?と聞き直したら、新館を汚しちゃいけないというお達しだそうだ。へなへなと崩れそうな気分がした。どうやら旧館で33時間連続勤務した俺は汚くて新館にはすんなり入れてはもらえないらしい。週休二日の面々も履き替えはしてるんだから俺ばかりそういうことを言うのは僻みだよとは分かってるんですけどね。いいよもう面倒くさいと謝してPHSを切る。若手には罪はないし。

そんな少ない?

昨日の朝日新聞夕刊の記事から

小児救急の拠点病院で、宿直や夜勤の小児科医が一晩に診る患者は平均で約13人にのぼることが、厚生労働省の実態調査でわかった。「宿直が月15回」「36時間働き通し」といったケースもあった。厚労省ではこうしたデータを参考に、小児救急医の待遇改善などに向けた検討を進める方針だ。

一晩13人って、大変に少ないような印象を持ってしまいました。一晩13人ごときでやいやい言ってたら、世間様にはもちろん、他科の諸先生方にも申し訳がないような気がします。
最近の当院の時間外外来の状況は、これよりは少し多いかな(20人程度かな)と思ってます。だから実感としては、一晩に13人なら楽な夜だよなと思いますが、それは当院が専ら1次救急の楽なケースばかり拝見しているからかも知れません。例えば今日は午前9時から休日日直に入っててこれまでの4時間で既に10人は診てますが、通常の診察で終えられる方ばかりで、忙しいとは全然思えません。そういう私らのような場末とは違って、13人の中に到着時心肺停止とかもあり得るような「拠点」病院なら、13人は結構な数字なのかも知れません。
悪意に取れば、厚労省のお墨付きのついた「拠点」病院と、実質的な拠点を担う病院とは別物なのかもしれません。例えば京都で第一あるいは第二赤十字病院をさしおいて、国立京都医療センターを拠点と見なしてたとしたら、今回の調査での受診数が現場の体感より低いのも、納得できるような気がします。
まあ深夜帯5人って言っても、午前1時2時3時4時5時と一人ずつお出でになったら、とても仮眠なんて出来ないわけで(でも寝ないと生きていけないんですがね)、たった5人と他から言われたらムカッときますがね。

女医さんもやってきた

研修医に加えて、常勤の小児科医が赴任してきた。
きびきびと働く女性である。私などより一段高速のCPUに、構成のすっきりしたOSを載せて稼働しておられる様子である。常勤での現場復帰がお久しぶりだとのことで、実に色々と質問してこられる。厳しいことを突っ込まれる。地はきびしい人なのだろう。おそらく。当方としては、普段やってたことでも、実際に他者に説明してみるとあやふやだったりして、案外と根拠の薄弱な臨床をやってたんだなと自省することになっている。
今まで数回、新任地の様子を見にお出でで、赴任前からご尊顔は拝見していた。ただ彼女がお出での時に限って、当直明けだったり超未熟児の分娩後処置が終わった直後だったり、私が随分と「へなへな」としたモードに入っていたときで、あんまり良い印象をお持ちにならなかっただろうなとは思っていた。いや、本当はもっと格好良いんですよと申し上げるつもりはありませんのですがね。無事に着任して頂いて何よりってことで。
ご家庭の事情もありそうそうたくさん当直を引き受けて頂ける様子ではないが、しかし、NICUの赤ちゃんの主治医を引き受けて頂けるだけでも有り難い。一般病棟の患者さんも丁寧に診て頂けるからなお有り難い。時間外勤務も無制限にやれない医者は一人前じゃないなんて戯言を言う小児科は潰れて当然だと思いますよ。勤務されている時間内をきっちり働いて頂ければ、時間外のカバーはしっかりさせていただきます。

研修医がやってきた

スーパーローテートで2ヶ月間だけの小児科研修をしに、一人目の研修医が大学からやってきた。
1週間ほど様子を見ているわけだが、けっこう好感をもてている。物怖じも狎れもせずのバランスのとれた青年である。研修医を褒める医師ブログなんて読んだことがないから、こういう研修医は珍しい存在なんじゃないかと思う。
外見は仮面ライダーの次シリーズにヒーロー役で出ることが十分可能で、その際は子よりも母に人気を博しそうなタイプである。ただ主役は無理かもしれない。彼の容貌には「コンドルのジョー」的な陰影がある。
このあいだ小児の必要水分量の計算式を教えたら、翌日には早速「先生、マコちゃんの水分量は多すぎませんか」と質問してきた。歯応えのある奴だと思った。
こういう青年にぜひ小児科にとは思う。でもまあ仲良くしようを優先するには2ヶ月は短い。機嫌をとるばかりでは貴重な2ヶ月が潰れるだろう。しかしやたら厳しく小児科の基礎を叩き込むにもちょっと短いかなと思ってたら、彼が配属になったとたんに、今まで肺炎腸炎気管支炎たまーに川崎病の小児科病棟に、稀な疾患の子が続々と入院してきた。こいつも「当たる」医者なのだろうか。なんにせよ作為は無用のようで、彼の星回りがなんとかしてくれそうだ。
当たると言えば、彼の配属期間中にいよいようちも新病棟へ引っ越すことになる。病院の引っ越しなんてそうそう見れるもんじゃないし、ましてスーパーローテート研修医なんていう徹底的に責任を免除された立場で高みの見物を決め込めることなんてまずあり得ない。全国の2年目研修医の中で彼がただ一人なんじゃないかと思う。
小児の知識は何科に行っても役に立つし。外科でも脳外科でも泌尿器でも心臓血管でも、とかく他科のいずれであっても小児部門は重要な分野だから。

わかって言ってるのかな

Scottさん経由毎日新聞の論説を読んで、喉に小骨が引っかかったような気分で居るわけですが。こんな粗雑な新聞だったのかなあって。

官民格差……。長い不況で国民の間には「役人は民間より恵まれている」という意識が広がっている。官民給与の単純比較は難しいが、例えば国家公務員の場合、人事院のモデルでは45歳の本省課長(配偶者、子供2人)で年間給与は1232万円余。一方、国税庁調査によると04年、1年間勤務した民間の給与所得者は計4453万人で、平均年齢は43・5歳、平均給与は年間439万円だった。

「公務員だとたかが課長風情でも1200万円から取ってやがるんですぜ」とかいった煽りを目的に書かれた論説なんでしょうか・・・たしか本省課長ってむちゃくちゃ偉いんじゃなかったですか?本省ですよ本省。たしか課長の上が局長で、その上が次官ですよね。いや、私も世間知らずのこどものおいしゃさんだから、世間の役職とか出世とか言うのが今ひとつよくわからんですがね、でも厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長なんていう人に自分の生殺与奪が握られてるんだろうな位はうすうす分かりますよ。たかが課長とは、よう言わんですね。
Wikipediaによれば行政職では上から2番目だそうで。とすれば、この論説に習えば、毎日新聞の専務常務クラスの人らの給料を民間の平均給与439万円と比較して「新聞記者の奴らってこんなに取ってやがるんですぜ」という論理も成り立つわけだ。で、「カネが目当ての役人などは無論、要らない。」というご高説に準拠して「カネが目当ての新聞記者などは無論、要らない」とか茶化してみたりして。

新年度シフト替え

新年度になり、小児科にも来る人去る人あって、勤務態勢が少々変わった。月曜日の午前中は、昨月まではNICU担当だったのが、今月からは外来である。月曜朝は外来の華だと張り切って外来やってると、10時頃NICUから主任がPHSを鳴らしてきて、「採血の子があるんですけど」と言ってくる。声が冷たい。採血待ちで誰か赤ちゃんが哺乳お預けになって泣いてるってことだから主任の怒りは当然なのだが、冷たく怒る人だから、迂闊にPHSをくっつけてると耳介が凍傷を起こしそうである。「今日から俺は月曜午前は外来だよ」とおそるおそる言ってみる。「そんなこと聞いてませんよ」と返される。けんもほろろとはまさにこの声のことである。なんだか足元から凍りついてきそうな気がする。主任がPHSの向こうで指を鳴らしたらこっちの身体が砕け散るかも知れない。取り敢えず若手を呼んでくれと言ってPHSを切り、その手で医局秘書に電話をして勤務表をNICUにFAXするよう依頼する。
誰の仕事だよこれはと苛立ってはみたが、考えてみるとこれは誰の仕事でもない。部長は基本的に「佳きに計らえ」の人だからそういう事務的些事には頓着しない。医師の勤務割り当てなんて看護部はもとより知りようがない。うちのNICUでは、看護部にもダスキンの清掃サービスにも割り当てられない仕事はたいがい私の仕事である。とすれば私の落ち度か。やれやれ医者だか執事だかわからんなと思う。
気を取り直して診察にもどったら、聴診器のバネが厭な音を立てて折れた。気を取り直したつもりでも手に苛立ちが残ってたか? リットマンの聴診器のバネは内部に仕込んであるから折れたら交換が利かない。だいたい2年か3年に一回折れる。先回購入したからそれくらいたってるし、材質がそろそろ劣化してくる自分ではあるから潮時ではあったのだろう。とはいえもうちょっと待ってくれたら春のリットマンフェアだったのにと思う。フェアなら半額近くまで値引きするのに。でも聴診器が無くては小児科の診療は出来ず、かといってフェアまで診療を休む訳にもいかず、購買部に行って購入を依頼してくる。相も変わらずのクラシック2小児用。しかしリットマンはカリビアンブルーとかラズベリーとか色彩に節操がない。なんだか白衣に染み付きそうだ。檜皮とか山吹とか鶯茶とか言えんかねと思う。
勤務表の変更がずいぶん遅れて決まったもので、月曜午後の従来の外来コマに予約の入っていた患者さんたちがぼちぼちとお出でになる。お出でになるたび外来に呼ばれる。NICUと外来を行ったり来たり。不思議と、NICU前室で手を洗っている最中を狙ったかのようにPHSが鳴る。せっかくNICUに入室しようとしているところを呼び戻される。まるでNICU仕事にならない。みんな落ち着いてくれててよかったと思う。