あらかじめお断りしておきますが、私は何処で何があったとは一切書いてません。
読者諸賢が何をご賢察になろうとも、それはあくまで皆様のご想像に留まります。
あくまで一般的な状況に関して、私は語っています。
さて。
病院内で暴れる患者・関係者への対応について。あくまで私論ですが「躊躇無く警察を呼べ」という対応がベストなんじゃないかと。主張ではなくて、そういうことを考えました的なメモとして、この記事を書きました。
警察を呼ぶのに何を躊躇うのだろうと思います。肩書きはある癖に背後で眺めてただけの人に「病院職員にも実際の危害は及ばなかったし器物損壊もなかったから警察を呼ばなくても良かった」みたいな事を言われると、恐い思いをした身には大変に辛いです。不信感を覚えます。また例えば、被害者が加害者の身内だったなど、実際に暴力を受けた人が加害者を告発する意思に薄いと推定されたとしても、それはあくまで推定に留まるわけで、その被害者の方から、有効な手だてを打たなかったことを手落ちとして非難された場合、病院はどう弁解するんだろうとも思います。
医者ってそういう暴力的な人への対応に「手慣れている」というタフさを演じて得意がる傾向があるんだなと思います。医者がそういうサラリーマン金太郎的な自演をしても寒いだけなのに。そんなに胆力があるんならあの時云々とは私は決して申しませんが。ええ。そういう状況があったなんて決して申しません。まあ一般論としてね、その時点では何もしなかった人間が、確かに立場上は第一当事者にはならないですむ立場だったとしてもね、後になって「あの相手は弱そうだったしその気になれば制圧できた」なんて言ってもねえ。ええ。繰り返しますが身近にそういう卑怯者が居たなんて決して申してませんよ。そんな奴って居たら不愉快だなあ、という話です。
「前の病院でも再々ヤクザが暴れることがありましたが、そういう時の対応としては警察を呼ぶんじゃなくて・・・・」としたり顔に仰られても、そういう微温的な対応をしてたから「再々ヤクザが暴れる」病院に成り下がったんじゃないかとしか思えない。あの病院では暴れた方が話が早い、みたいな噂や雰囲気が伝播してね。ええ、「できるだけ大多数の職員を集める」は正解です。人数で圧倒するほうが暴力は少なくなるでしょう。火事だって消防署から来てくれるまでは自分たちで初期消火するものだし。でもそれって消防に電話しない理由になるんだろうか。「相手の言動をカセットテープに残して後の証拠にする」も良い手段ですね。でも「後の証拠にする」って、証拠を保管するだけですか?後でって仰っても、病院で暴れる人が「後で」法廷とかの論争の場を準備してくるとでも?暴れる人ってその場での言い分を通してしまえば、「後」なんて無いことが大概じゃないんですか?いや、私は知りませんよ。私は「ヤクザが再々暴れる」病院になんて勤務したことがないし。
そういうことを後で言われる一々が、頑張って事態に対処したにも関わらず「胆力」の無さを小馬鹿にされているような気分にさせられます。
私はおよそ「暴力に訴えて言い分を通す」という態度とは縁のない育ち方をしてきました。至極当然のことだとは思いますが、私の親は子を撲る親ではありませんでした。それに、私の握力は高校の時でも30kg台、背筋力は70kg台。俊敏さにも欠けますので、およそ暴力で他人に言うことを聞かせるなんて、私の人生では選択し得るオプションではありませんでした。
そのためでしょうか、私は目前で誰かが「切れる」と、たとえそれが自分に向かうものでなくても、その光景に接するだけで大変な圧迫や恐怖を感じます。まして、誰かが誰かに実際に暴力をふるう現場に行き会わせると、膝が本当に震えます。それは出生したての赤ちゃんが仮死状態でも冷静に蘇生できるっていうこととは違うと思います。患者の生死の境目でビビる医者はその胆力を疑われても仕方ないかも知れません。私だって他の医者からアンビューを取り上げたことはありますよ。でも、暴れるヤクザの相手ができるできないの胆力なんて、私にそんなもん期待されても困ります。それ相応の方々の助けを呼んで頂かないと。
そりゃあ、健さんが演じる「過去のありそうな人」みたいに、そういう暴れる相手に一言「止めませんか」と声を掛けるだけで相手が黙ってしまうような、そういう迫力があったら、いいなと、それは憧れますよ。そのために網走番外地まで行く気はないけれど。
暴れる相手の言うことを聞くか聞かないか。いや要求を呑むという意味じゃなくて、そもそも耳を貸すか貸さないかというレベルで。相手がふっかけてくる論争に乗って説得を試みるのがよいのか、論争には一切耳を貸さず、ひたすら「静かにしろ」「暴力を止めろ」を繰り返すのがよいのか。むろん「あなたの言動から私は身の危険を感じている」「あなたの言動は正常な医療業務を妨げている」ということはきっちり通告するとして(それでも止めない相手には、こちらへの脅迫とか威力業務妨害の意図があると見なすとして)。そこはまだ私も結論出せません。真摯に相手の言うことに耳を傾けるのが誠意ある対応というものなのかもしれません。でも、論争に乗ってしまうと、こちらの態度が100点満点で一点の瑕疵もないというのでない限りは形勢がどんどん不利になる。だいいち、暴れる本人だって何か言いたいことがあって暴力に及んだわけで、その論争に耳を貸すのは、即ち暴れる利得を認めたことになるんじゃないかと。それはすなわち、次の暴れる人が出現する下地を作ることじゃないかと。ここんところはよく分からない。
なにやかや、そういう状況への対応のしかたを教示した文書ってなにかないでしょうか。ご紹介願えれば幸甚です。
