さきの連休では、どういう偶然でか2日間も病院から解放されました。当直も自宅待機もない2日間。教習所は大学生の予約で一杯で路上教習にも行けず、病棟には重症の患者さんも受け持ちがないから自主出勤の必要もなし。土曜夜の自宅待機が明ける日曜午前9時から、祝日を挟んで火曜午前8時30分まで、まる47時間のオフになりました。
そこで、かねてから心の隅で考えていた鉄道旅行に行ってみようと思い立ちました。普通列車を乗り継いで、飛ばさない旅。青春18きっぷの期間が過ぎていてちょっと残念ではありました。
たった2日間で漂泊でもないものですが、しかし「行く先を特に定めない気分次第の旅ごっこ」もしてみたいと思いました。息子もそろそろこういう旅に連れて行けるかなと、試してみたい気もありました。そこで息子に「電車に乗りに行くぞ」と声を掛けてみたら、ハリネズミ人形を一個持ってついてきました。
北へ行くか南へ行くか、ちょっと迷ったのですが、何となく北西へ。山陰線を進むだけ進んでみようと思い立ちました。
京都発園部行きの快速で園部へ。わりと混んでいました。保津峡は新線になって大半がトンネルになりましたが、それでもトンネルの合間に美しい渓谷が垣間見えて愉快な線路でした。亀岡の駅で筋骨逞しい作業服姿の人々が降りていきました。保津峡下りの船頭さんたちだったようです。落石事故でいまトラブル中なのですが、復興がんばって欲しいものです。
園部から福知山行き各駅停車。JRには気の毒ですがかなり空いてきたので、ボックスシートを息子とふたりで使わせて頂きました。通路を挟んで、大学生らしいグループが乗り合わせてました。あんまり体力はなさそうな、化粧っけもなさそうな、銀縁眼鏡でしゃべり方の平板な面々。これは御同輩のテツな人々かと思ってたら、福知山駅を見て「無駄に大きな駅だ」と小馬鹿にしたようなコメントを出したので、志向の違う人々だと判明しました。
福知山は山陰や丹後あるいは中国山地と京都や阪神を結ぶ鉄道交通の要衝です。広大な福知山駅の敷地はかつては沢山の機関車が集まる重要な機関区でした(って見てきたようなコメントを出しますが)。テツならば、ちっとは敬意を持った感慨があるもんじゃないかと。ただ、いまの福知山駅は高架化され、かつてのホームは更地にされてました。何か再開発でもされるのでしょう。その更地の向こうに、北近畿タンゴ鉄道の小さなホームがぽつんと残って寂しそうでした。
福知山で昼食をとって、福知山から豊岡へ。延々と山が続きます。本州の田舎の奥深さには参ります。故郷の大村湾沿岸が、まるで箱庭かスペースコロニーかのように思えてきます。駅は大半が無人駅でした。ワンマンカーで、運転手さんは車掌や駅員の役目までしなければなりません。いちど、割引切符だか何だか、無闇にややこしい切符を持ち出してきた団体さんがあって、その処理でなかなか発車できず、結局は豊岡駅での接続に間に合いませんでした。車掌さんが居て車内検札を済ませてあったら定時運行も可能だったはずですが。人件費を削ったばっかりに正常運行もままならず、いっそう客離れが進む。JRは大丈夫なのでしょうか。せめて、こんなしょうもないダイヤの乱れが原因であの運転手さんが処罰されなければ良いと願います。
豊岡から城崎温泉へ。豊岡あたりで息子も私もくたびれてきて、とくに私は温泉の誘惑に耐えがたく、天候も台風の雨じみてきて何だか怪しくなったので、城崎温泉で一泊しました。息子は豊岡駅に止まったラッセル車を見て感動していました。
