「責任者出てこーい」というセリフは昔は笑うところだったんだが

「責任者出て来ーい!」が持ちネタの漫才師がおられたように記憶する。いわゆる漫才ブームのころだったか。最近とんと漫才を見なくなったので、ご健在なのかどうか寡聞にして存じ上げない(彼を過去の人あつかいにするのは本旨ではない。ご容赦願いたい)。
昔はこのセリフは笑いを誘うセリフだったんだよなと、ふと思った。むろん責任の所在を追求するにはあまりに他愛ない題材であってこそという一面はあろう。しかし、子供のころの私は、彼が生真面目な顔で「責任者出て来い!」と叫ぶだけで、前段がどうあれ、おおいに笑わせていただいたものだった。その言葉それ自体に、何とも生真面目な滑稽さが内在しているような気がしていた。
いまはこのセリフは笑えるセリフではない。テレビを見ても新聞を開いても、陰に陽にこのセリフが並んでいる。全ての記事がこのセリフで締めくくられているようにさえ思える。
もちろん、責任の所在を問うことが重要な問いとなる場合というのは幾らでもあろう。しかし昨今の風潮は、あまりに、「責任者出て来い!」に収束しすぎてはいないか。他に問うべき重大な質問が幾らでもあろうに、他のことは放り出して、性急に「責任者出て来い!」という結論にもちこんで、それで良しとする論が多すぎないか。

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