府南部の病院まで新生児搬送。もともとその病院からの母体搬送でお預かりした赤ちゃんであった。当院で生まれて急場も乗り越え、退院までの目算が立ってきた。今では自宅から遠くて御両親の面会もままならないのが最大の問題。退院後に外来に通うにしても、生活圏内の病院のほうが何かと便利。何やかやの事情で、もとの病院へ送り届ける。業界用語ではバックトランスファーと言う。
今日は快晴。月末にしては交通量も少なく、滑らかに走れた。気持ちよいドライブ日和。ふだんの新生児搬送は、たいがい呼ばれて出向いて赤ちゃんを引き取って帰るんだが、往き道はまだ見ぬ赤ちゃんの状態が気になってしかたがないし、帰りは病態の落ち着かない赤ちゃんを実際に乗せてるわけで、往復とも緊張のしっぱなしである。今回は自分の責任で病状を落ち着かせた赤ちゃんだから、乗せてても余裕だ。帰り道に至っては空車である(さすがに鈍行で帰ったが)。ゆとりが違う。
途中、たまたま白バイに追いついたところ、先導して下さった。我々の前を行く車列の周囲をこまめに走り回って、上手に我々の進路をあけてくれた。トラックを退かせ普通車を退かせ、10台近くも先行車を誘導して下さった。最後のミキサー車を退かしたところで、行けと手を振って自分も脇に退いた。
このミキサー車の時は、対向車線も空いてるのに私らが追い抜いていかないものだから、怪訝そうに振り向かれた。当方の運転手が、拡声器で「赤ちゃんが乗ってますから鋲が踏めません」と申しあげたら、納得して、路肩の広くなったところにミキサー車を入れてくれた。あれはたぶんミキサー車の運転手さんにも聞こえたんだろうとも思った。
粋な白バイだった。ご協力に感謝します。
むろん、先導がなくてもああいう大型車の運転手さんはけっこう上手に道をあけて下さるものではある。そうは言っても限界はあって、こちらも小刻みに加速減速を繰り返すことになる。先導があると、先行車が我々に気付く直前の微妙な減速をしなくて済み、乗り心地が良くなった。なにせ私は保育器と対面して進行方向には横向きで乗ってるから、加速減速が繰り返されるとだんだん酔ってくるもので。
まあ、白バイの先導で新生児搬送なんて、もう金輪際ないだろうな。愉快な体験ではあった。
今日の空床情況はこの子が帰った分の空床で重症1/軽症1ってところか。木曜に入院予定があって1/1はちょっと苦しいかも。工面はつくけど。母体搬送可。
