赤ちゃんとの縁を切らない

先だって院内電話で、産科の先生から。
「緊急母体搬送の依頼があったんですが、病状はかくかくしかじかで、NICU空いてますか?」
空いてますかって、朝から既に院内出生の早産児を3人受け入れてるんですけど。
うち1人は人工呼吸管理中なんですけど。
空床なんて無いでしょう、普通。今朝から4床以上空いてるって言いましたか俺は?
でもまあ・・・産科も立て続けの帝王切開にめげず頑張ってるんなら、ここはNも心意気かと。
「空いてます」こう答えるにもけっこう腹を括ったんですが。私はなにせ小心者でね。
「そうですか。それでは受入について産科部内で相談します」 ・・・え?
何か順番間違ってないかと思いつつ待ったところ、果たしてその数分後、
「産科では母体搬送の受入は無理ですので、出向いて分娩立ち会いの上で新生児搬送入院でお願いします」だそうだ。
はあ(ため息混じり)。
きみらが頑張るのを前提で、院内緊急用のとっておき空床を使うことにしたのに。
そういうの他人のフンドシで相撲を取るって言わないか?
なんか釈然としないなあと思いつつ、依頼元に連絡をして搬送に向かう。緊急帝王切開の娩出には何とか間に合って、予定通りの新生児搬送入院となった。当日は、その後は院内緊急分娩のケースは生じなかった。とっておきの空床を潰したことによる不都合はなし。例によっての綱渡り、結果オーライの自転車操業。でも、まずは、よかった。
冷静に考えてみれば、今日びの周産期に、他人のフンドシを借りない潔癖さなど薬にもならない。自科の満床を理由にしてこの赤ちゃんとの縁を切ることを潔しとしなかった、産科医師の志や善しとなされねばならぬ。

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