自分が居なくてもいい状態をつくる

仕事ってのは自分が居なくてもいいようにするのがほんとうなのかなと思った。自分が居なくちゃどうにもならないとか言って喜んでるうちは未熟ものなんじゃないかと。
NICUに出てみたら当直の上司に血液ガスの調子が悪いと言われた。コアグラ流し込んじゃったらしい。Hct以外の全項目が検査不能になってる。詰まってるねたしかに。OMNI Cのフィルポートを外して蒸留水で洗ってみる。圧力をかけると直径0.5mmほどの血塊が飛び出してくる。開通させたフィルポートを機械に取り付けて、キャリブレーションする。数分で画面の全ての項目が緑色になる。
この機械は頑なに私の言うことしか聞かない。というか、マニュアルを読んでその通りに使ってくれる人の言うことしか聞かない。そりゃあもう機械ってそういうもんじゃないかと私は思うのだが、どうして定型発達の奴らってマニュアル読まないんだろう。
血液ガス分析器が潰れていてはNICUは動かない。いや血ガス要らないくらいの軽症入院しか受けないってんなら別ですけど、そんな殿様商売してたら干上がりますよ。こういうミッション・クリティカルな機械が潰れたときに世話できる人間が自分しか居ないってのはどうなのよと思う。昔はちょっとそれが自慢だったりもしたんだけれども、今日のように長期連休の初日にこういうことがあると、ちょっと考え直してみたくなった。
技術を共有して普遍化しておくこと。しかし難しいよな。機械に備え付けのマニュアルを読まない人たちに、当院NICUオリジナルのマニュアル作って読ませられるんだろうか。マニュアル作って読めじゃあダメなんだろうな。何や彼やで、さいきん書店に行っても仕事のしかた関係の本ばかり目につく。Socialtunesにもlifehacksとか自己啓発とかばっかり。一昔前の自分ならとことんバカにすることにしていた本ばかりである。
ついでに言えば、俺らの仕事は、この子らが俺ら無しでも生きていけるようにすることなんだよな、とか、大きく出たりして。「小児科医の仕事は小児を入院させることではなく退院させることである」とか書いてあったのはどの本だったか。駆け出しの頃に読んだが。
今年最初の蚊が出た。

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