傘を持っていく

火曜日のゴミの日に、息子は例によって家中のゴミを出して登校した。彼が家を出てしばらくすると雨が降り出した。傘を持っていかなかっただろうと心配して、妻が自転車で追いかけたのだが、しっかり傘をさして歩いていたとのことだった。
天気予報を見ていたのか、玄関先で空を見て傘を持っていくことに決めたのか、それはよく分からないが、外出時に天気を判断するというのは自立に必須のスキルである。いつの間にか身につけていた。成長したものだ。よしよしと思って自分も出勤しようと玄関に出てみたら、息子はしっかり私の紳士用の傘を持って行っていた。深緑色で縁に縫い取りのあるもの。横目で狙っていたと見えた。
おかげで私は紺の無地をさして出勤することになった。まるで磯野カツヲとネームが入っていそうな、小中学生用のデザインである。さして歩きながら、息子が嫌がったのは自閉症でこだわりがあるためではなくて、私服で通学する男子中学生としてはこんな野暮な小物は持ち歩きたくないということなんだろうと思った。
傘は譲ることにした。

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