火の粉は我が身に

「新生児集中治療室の満床対策、病床移行の調整役配置」なる記事が朝日新聞に報道されていた。救命救急センターのときは冗談半分に眺めていたが、まさか本当に調整官の手法であれこれの問題を解決にかかるとは思わなかった。しかもその火の粉が真っ先に自分に降りかかってきた感じで、あんまり冷笑的な世渡りしてると罰が当るんだなとすこし反省した。
それにしても、こんなこと考える人は、ちとテレビの見過ぎなんじゃないかと思う。水戸黄門とか八州廻り桑山十兵衛とか。たまたま巡回してきた偉い人が遊び人の親父にカツを入れて悪代官を土下座さすなり斬り殺すなりしたら世の中が上手くいくようになるんだとか、そういう時代劇を宿題しながら観て育った誰かさんが立案したお話のように思える。いや、世の中って「かっかっか」と笑って終われる一話完結ものじゃありませんよ。わかってますか?
隣の宿場まで来た縮緬問屋のご隠居の正体はかなり剣呑なお人らしいぞとか、そういう情報もまわらなかったのかな。あの時代は。
八州廻りが病院に乗り込んできたとて、いったい何をどう調整するつもりなんだか、私には見当も付かないんだが。受け入れ先に想定されているらしい重心施設なんてNICU以上に空きのない施設だしねえ。結局はお上のご威光と許認可権をもって、君のところのNICUは長期入院が多すぎるから退院させて「在宅医療を推進」させなさいと圧力をかけてくるだけなんじゃないかと、ちょっと身構えてみたりもしているんだが。
まあ、いきなりそこまで無意味に意地悪なこともしないだろう。たぶん、まずは、看護協会の偉いさんやらに、在宅人工呼吸の患者さんの痰を学校の先生でもヘルパーさんでも吸引して宜しいと納得させるような調整をなさるんだろうな。

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