発注した自転車が到着するのをじっと待っている。
夏の終わりに急に自転車がほしくなった。たぶんそれは北大路ビブレのL.L.BeanでSchwinn社のマウンテンバイクが3万8千円で売ってあったのを見てしまったせいだと思う。なんで自転車ごときにそんな目を奪われるかねと自分で不思議になるくらいに、ショーウインドウのガラス越しにぐりぐりと店に引きずり込まれてしまった。その日はたまたまあの近所の病院にBLSの講習を受けに行って、久々に成人モデル人形相手に心肺蘇生実習を一日やって「身体を動かすのもいいもんだなあ」みたいな爽快な汗をかいていた影響もあると思うけど。その場で購入して乗って帰ろうかと思ったわけだが幸か不幸か持ち合わせがなく、それにだいたいそういう衝動買いで失敗するのがこれまでの常ではあったし、そのときはSchwinnがそんな一流メーカーだったなんて知らなかったということもあって・・・まあそりゃあL.L.Beanがそんな変なメーカーの自転車を自分の店舗で売ることはないでしょうよとは思ったんだけれどもね。まあ、買わずに帰ってきた。
でも何だか自転車って良いよねと思った。今の生活は月9回(ちょっと増えた)の当直とほぼ同じ回数の自宅待機。月の3分の2あまりは病院とその町内にある自宅に縛られた生活をしているわけだが、しかも当直でも自宅待機でもない日はたいがい当直あけだから自分の体力では寝ているしかない日であるわけだが。このまま定年か過労死かでリタイヤするまでこんな軟禁生活を続けるのかなあと思うとなんだか切ない気分ではあった。ネットで世界のあちこちを見た気分になるのもいい加減飽きたし。しかしそういう自分の体力でも病院までの坂道を漕ぎあがれるような軽い自転車があればせめて町外へ出るくらいはもうすこし自由にできるんじゃないかと思ったら、がぜん自転車というのが光り輝く選択肢に感じられてきた。ちなみにママチャリという種類の自転車は持ってはいたが、私の体力では漕いであがるのは無理。いつのまにやらガレージで錆びてた。
私の行動パターンとしては何にはまるにもまずは参考文献を集めるというもので、あれこれと自転車の資料を読んでの結果として、奮発して重量の軽いスポーツバイクを買うしかないと思った。10kg内外のクロスバイクなら俺の足でも病院直行が可能なんじゃないか、とか。あるいはそれでも病院までの坂をのぼれないようなら、のぼれるくらいに鍛えておかないとリタイヤが定年ではなくて本当に過労死になるよとか。で、サイクルベースあさひ高野店に錆びたママチャリの始末がてら出向いて、GIANT社のESCAPE R3というのが目にとまった。姿かたちはともかくも命名がよい。私の目的を体現したような名前じゃないか。ESCAPE。エスケープ。でも店に置いてあったESCAPEはサイズが小さかった。試しに乗せてもらったら膝がハンドルに引っかかるような気がする。もう一つ大きいサイズをといったら、ちょうど端境期ですから2009年版が入るまで待って下さいという。いつになると聞いたら10月下旬だそうだ。まあいいかちょうど誕生日もそれくらいだしということで、じっと待っている。待つ間にいろいろと自転車の本を買って読むから待つのも費用がかかる。本代をあわせたらR2が買えたんじゃないかとも思うけど。その点は我ながらちょっと愚かかも。
