「やあ将軍、元気か。困ったときには電話してみろってタローに勧められたんだが。」
「そう言う声はアキヒロだな。元気がないじゃないか。君らは前任者を粗末にするからばちが当るんだぜ。俺みたいに神格化しておけば楽なのにさ。」
「その読み方やめてくれよ。困ってるときにますます滅入るじゃないか。」
「ああ、そういえば彼は気の毒だったな。もうお葬式は終わったかい? 俺も故人の遺徳を偲んでちょっと6カ国協議にでも顔を出してみようかね。」
「恐ろしいことを言ってくれるね。君にそんなことされたらいよいよ俺の立場がないよ。」
「そうだろうね。やっぱり俺に悪役をやれって相談かい?」
「頼むよ。このままじゃ針のむしろだ。」
「しかしテポドンはもう使っちゃったし、だいたい急に言われても燃料詰めるのだって大変なんだぜ。もっと他の奴ってえと・・・あれ使うか。」
「あれって・・・まさか・・・あれかい?」
「ふふふ。そのまさかよ。」
「そりゃさすがにまずくないか? 洒落じゃすまんぞ。」
「案外と小心者なんだな。そこで仲介してポイント上げるのが君の役どころだろうに。」
「そ、そういうものなのか」
「伊達にながいこと独裁者やってるわけじゃないんだよ。まあ、まかせておきな。そりゃそうと君も生れは日本のくせに『泣いた赤鬼』って話は読んでないのかね。これからは独裁者だって教養を問われる時代だぜ。蓄財ばっかりじゃ時代に取り残されるぜ。いい映画を何本か薦めてやるから観るとよいよ」
「まだそんなに貯めちゃいないよ。だいいち俺はもともと金持ちなんだよ。でもなあ。教養ねえ。確かにタローは漫画ばっかり読んでてひんしゅくを買ってるしな。今度のことも彼には言わない方がいいかな」
「まあ、な。それが彼のためかもな。でもバラクには何とか取りなしてくれよ。それだけは頼むぜ」
「ああ。分ってるよ」
