マンパワーの確保は喫緊の課題であるが

12日から14日まで周産期新生児学会に行ってきた。昨年度までは当直にくたびれ果ててあんまり行く気も起こらなかったのだが、若手が増えた本年度はさすがにさぼる理由がなくなった。自転車に乗っていたいからというのは理由にならない。いまちょっとSPDの着脱を練習していて新しい局面なんだがね。
名古屋まで新幹線なら40分ほどで行けるというのには驚いた。なんと京阪で大阪淀屋橋まで出るよりも早いぞ。値段は10倍だけど。早朝に京都を出て教育講演の開始に余裕で間に合った。通勤だってできるんじゃないかな。
喫緊の課題としてマンパワーの確保について熱心に語られていた。今年度はうちも人数が増えたのだが、そうそうバブルは続かないというのが世の常だし、マンパワーの確保は過去の話題とはなかなか申せない。かしこまって拝聴してきた。
とはいえその語り方にはいかにも十年一日という感があった。上手くいっている施設や地域の先生が成功体験を語り、事情通の先生がこれからの見通しを語る。地域振興シンポとか称して商工会の青年部がシャッター商店街の店主を集めてIT社長や経済評論家に講演をさせるような図式であった。催し自体としては晴れやかだし開催者の意気は軒昂なんだろうが、聞いてるほうの明日からの仕事につながる訳じゃない。
そのなかで救いがあったのが米国でnurse practitionerとしてご活躍のかたの講演であった。米国ではNICU仕事の多くを、特別に訓練を受けた看護師であるNPの資格をもつスタッフが行う。新生児搬送も、中心静脈カテーテルの挿入も、胸腔穿刺も。じゃあ医者は何もすることがなくなるんじゃないかと日本医師会の諸兄はたいへんにご心配だろうが、じっさいにはその心配はないそうで、なぜなら60床のNICUを医師一人NP一人で診ていたりするんで仕事が尽きることはないのだそうだ。安心して医師法を改正していただきたい。
60床のNICUなんてあったらたとえば京都にはそれ一つで足りるんじゃないか。いまの京都のNICU認可病床数は総計でも50は越えないはず。それを小分けにちまちまとあっちこっちの病院にばらまいてあるから、NICU当直として京都全体で毎晩すくなくとも5人は泊まっていなければならない。それを医師一人NP一人で済ませられたら夢のようだ。マンパワーなんて全然足りるじゃないか。私などむしろ能力不足な余剰人員としてリストラに遭わないように注意しないといけないくらいだ。まあそこまでラジカルな施設の統合なんてぜったい無理だし、そもそも京大と府医大の系列を統合するなんてemacsとXEmacsの開発を統合するくらい難しいことだからね。でも京都のNICUの当直は大半がNPで間に合うんじゃないかと思う。
米国でNPの教育が始まってから制度的に認められるまで11年かかったということだし、本邦ではその前に医師法の改正をしなければならんから(医業を医者以外もしていいよということにしないといけない)、もうちょっと時間もかかるだろうけれども、でも医学部の定員を増やしてから使い物になる医者の人数が増え出すまでにも十数年はかかるのだから、いまさら拙速に走ってもつまらない。腰を据えてラジカルな改革をやらんとね。

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