これが百日咳だ

YouTube – Clinical Examples of Pertussis

コメント欄で百日咳についてコメントを頂いたので(TEE様ありがとうございます)、百日咳の典型的な動画を提示してみる。典型的にはこういう咳をする。呼気時に息を吐ききるまで息継ぎできず連続して咳をしていること、吸気時にヒューッと音がしていることに着目。かかってしばらくは普通の風邪と区別しにくい咳だが、なかなか咳が治らないなと思っているうちに数日でこういう咳に変化してくることが多い。

典型的には、というのは、言い訳めいて恐縮だが、典型的ではないことも多々あるからだ。三種混合(ジフテリア破傷風・百日咳)いわゆるDTPワクチンを接種していると、かかっても軽症で非典型的になる。もちろん、だからワクチンを接種してはいけないなどと、どこかの狸じみたことを言っているわけではない。こういう咳をし出したときにはもうマクロライドを飲んでも遅い感がある。ワクチンで予防するのが最善だ。

そういう咳ではありませんかと外来で聞くのは、まねをしてみせるのもなかなか難しい。動画を共有できるサイトはありがたい。外来で「youtubeでよく似た咳を見たんです」とか仰って頂くと参考になるかも知れない。外来の電子カルテ端末から親御さんに見て頂ければいいんだけど、そうするとコンピューターのほうの感染対策が難儀になる。ジョブズ氏のiなんとかを活用するのがよいのかもしれない。

百日咳という語は中国語も共通らしくて、「百日咳」で検索すると中国の偉い先生の解説動画が上位にくる。英語の pertussis で検索したら咳の実例動画が上位にわりと多かった。whooping coughで検索したら意外にも中国同様に偉い先生の解説が多そうだった。

百日咳の注意点というか、医者からの言い訳というか、あれは夜と昼の差がかなり激しい。昼の外来ではけろっとしていても、夜になると1時間おきに咳き込んで吐いたりしている。「夜がきつい」「咳き込んで吐く」はけっこう強いキーワードだったりする。むろんこれも簡単ではなく、喘息もまた夜がきつい疾患なので、鑑別は往々にして困難である。血液検査ではリンパ球優位の白血球増多が特徴的だが、ワクチン後ではこれも出ないことがあるし、そもそもこの所見が出てきた段階ではすでに手遅れ感が漂っている。

これが百日咳だ” への2件のフィードバック

  1. またTEEかぁと思われたかもしれませんが、百日咳の話題ありがとうごさいます。うちの子は今、小4男子で、百日咳は去年のことでした。ワクチンについて書かれていたので、またコメントをちょっと。息子は0才からの喘息で、リスクを下げるために、有料、無料問わず、出来る限りワクチン接種しました。でも、人付き合いが良いのか、去年の百日咳、新型インフルエンザ、今年はおたふく風邪、ほぼ毎年、季節性のインフルエンザとよくまあうつってきます。でも百日咳と季節性のインフルエンザ以外は比較的軽くすみました。でも、息子にとっては、我慢して注射をしたのにうつるのは納得いかないようです。ところで、息子はアスペルガーで、喘息の担当医は喘息と新生児の担当なんです。なんだか、childdocさんと近いところにいるような気がして、いつも記事を読んでいます。

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  2. TEE様 コメント再度ありがとうございます。うちの息子の場合は、近所の耳鼻科の先生が「刺して4秒以内に抜く」ということで納得させて、アレルギー性鼻炎の通院ついでにインフルエンザワクチンを接種してくれました。

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