うまそうに食べるということ

 

  両親の再婚でとつぜん姉妹となった二人の、妹のほうは料理が得意で、姉のほうは妹がつくったものを実にうまそうに食べる。ちなみに上の表紙絵で奥のセーラー服の子が妹、手前のいかにも天真爛漫そうなのが姉。

 この姉の食うところを読んでいると、この二人が互いに全く知らない間柄でとつぜん同居を始め、互いに理解をふかめていく過程において、妹の料理の上手さと同じくらいに、姉の食べっぷりの良さが貢献しているように思える。うまそうに食うというのは人徳なのだなと思う。腹さえ減ってて作り手が上手ければ誰だってできるだろうそんなもんと思っていたが、それは違うようだ。作り手がどれほど上手に料理しても、食べる人間がつまらない食べ方をしたら、その料理は片手落ちのまま、未完成なままなんだ。

 俺はもうおっさんだし、世の中の人間関係には波風があるというのはわかっているつもりだ。だけれどもこの二人の物語はひたすらうまいものを作っては食う話に終始してもらいたいと思う。俺はこの子らがニコニコと料理を作って食べる話を読み続けたい。もうすぐ3巻が出るらしくて楽しみだ。