新館への引っ越しに伴って、NICU認可病床数が6床から9床に増えた。
実質的には3倍程度に増えたような実感がある。四畳半一間とかの無茶苦茶狭いアパートから、ちょっとは広いDKくらいに引っ越したような感触である。何と言っても机の上でカルテが書けるのである。旧館のNICUは狭すぎて机を置くゆとりもなかったのだ。
昨日は午前中に搬送入院してきた子の交換輸血と午後早くに搬送入院の子の入院後処置を並行して行い、さらに自院の産科では早産の分娩待機中であった。ふと気付くとずいぶんタフに沢山の仕事を並べて進めている。むろん認可病床数の増加に伴って医師や看護師の増数があったのが最大の利点なのだろうが、加えて、やはり、広さが与える心理的なゆとりも大きいと思う。旧館NICUで交換輸血など始めてしまうと、回路やポンプ一式で面積が埋まってしまった。立錐の余地もない光景に、うわあこれ以上の仕事はとうてい無理だぞという暗示をかけられていたように思う。
居住環境としても快適になった。同じ常温26℃でも新館のNICUでは暑いという感じがしない。旧館のNICUでは手が届くほどに天井が低かったが、さすがに新館NICUでは背伸びしても天井ははるか上である。熱気の籠もり方も違うのだろう。さらには当直室の寝心地など考えても外壁の断熱がかなり良くなっているはずだ。となると低出生体重児を保育器から出すのも、従来よりも早い時期から挑戦できるってことだろうか。赤ちゃんも体温調整にそれほど消耗せずにすむだろうし。
