知らないうちに静脈留置針の銘柄が変わっていた

私のあずかり知らぬところで、勤め先が採用する静脈留置針の銘柄が、テルモの「サーフローフラッシュ」からBDの「インサイト」へと変更されていた。ある日突然、それまでの銘柄のストックが底をついて、見たことのない銘柄が出てきた。いまさら駆け出し研修医でもあるまいし、針が違うから点滴がうまく行かないなんて口に出すのも沽券に関わる。平然と新しい針を使ってはいるが、さすがに、手と目を慣らすのに、少々時間がかかった。
「俺はそんなこと聞いてなかった」といういちゃもんは大嫌いで、そんなことをいう奴が居るから無用の会議がぞろぞろ増えて迷惑なんだと常々思ってるんだけれども、今回ばかりは私もそれを言いたくなった。小児科医それも新生児科の私としては、点滴がうまく行くかどうかは死活問題なんですけどね。いや私以上に、未熟児達にとって、文字通りの死活問題なんですがね。
うちは民間病院だし点滴はもっぱら看護師さんの仕事だからと、看護部で変更が決定されたんだそうだ。そのわりには、使いやすい針になったという喜びの声を看護師さんから聞くことがないんだが。たぶん、点滴などという些事から解放される程度に出世なさった偉い人が決めたことなんだろうな。看護部以外にも、サーフローフラッシュよりもインサイトのほうが納入価が安いとかいうような浅知恵の働く背広な人も絡んでるんだろうな。昨今のご時世では白衣よりも背広ばかりが強くなるのはやむを得ないが、しかし静脈留置針の変更を、背広が事務仕事に使うボールペンを変更するのと一緒にして欲しくはないんだけどな。
慣れてしまうとインサイトの材質もけっこう私好みだったりして、それはそれですこし悔しい。けっしてBD社の製品に不足がある訳じゃない。インサイトからサーフローに変更になったとしても、たぶん私はぶうぶう言うんだろう。