不妊治療に関わる温度差(1)
Octさんに、不妊治療を受ける患者さんを不当に責めているとのご批判を頂いたので補足する。一番最初の「ふたごふたご・・」の文章で患者さんを不当に責めていると言われたら内心では心外なのでコメントを書いたが、「不妊治療に関する温度差(1)では確かに患者さんを責めているように、私でも読む。これはいけない。
「不妊治療に関する温度差(1)」の文章では、いったい誰が責任を持って集中を緩和するかについて明言を避けたために失敗している。いい加減、喧嘩に遠慮をするのは止めて、剥く牙なら適切に剥かないと、余計な人が傷つく。この点は反省。ほんと、いい加減に私も懲りないと。
まず不妊治療のみを責めるのかと言うことだが、「繁忙期」に次々に入院依頼のある多胎の大多数が不妊治療後である。自然妊娠の多胎が同時期に集中することがあり得るだろうか。産科の先生方、あり得るのならその機序をご教示頂きたい。
なるだけ多胎は避ける、せめて一時期に集中はさせない、集中が避け得ないのなら、せめて避けられないことの医学的根拠を示す。その責任を負うのは、私は産科側だと思うのだが、新生児科小児科として不当な責任回避だろうか。
産科の先生方、自分の施設でどれほどの患者さんに不妊治療を行っているか、月当たりの出産予定数に年間通じて急な増加がないか、把握しておられるだろうか。その総数を把握した上で、自分のところではどれくらいの割合で母体搬送・NICU入院になるのか、その発生率を算出しておられるだろうか。さらには自分の地域全体でどれくらいの不妊治療が行われているか、そのうちどれくらいがNICU入院になっているか、産科医全体の責任として把握しておられるだろうか。NICUはそうそう簡単に増数できる緩い施設ではない。忙しければ夏だけ増やしてろなんて浜茶屋みたいな扱いをして貰ってたとしたら心外だ。
かつては、不妊治療は高度先進医療として専ら大学病院など限られた施設で行われていた。そういう施設には当然のようにNICUも附設され、早産に至ったお子さんたちにも自分の病院で責任を持てた。NICUが引き受けられる限度を超えないよう自然とセーブがかかった(かかってたはずだ。かけてなきゃ本当にバカだ)。あまり調子に乗って五つ子などつくるなと小児科から申し入れたのもこのころだ。それが次第に不妊治療もごく一般的に市井の産科医院で行われる時代になった。多くの産科で、無秩序に不妊治療が行われているかに見える。統計を取ろうにも守秘義務の壁がある(少なくとも行政側はそう言って新生児入院数の統計すら発表しようとしない)。
私がいま産科の不妊治療医に持っているイメージは、自分の施設の余力しか考えず患者さんから請われるがままに不妊治療を行い、しかも「成功率」を上げるために過剰治療を行って多胎を連発する、無思慮無計画で独善的なテクノロジーハッピー野郎どもってところである。
多胎を連発する不妊「治療」医は、人間の赤ちゃんは生まれた後も育てる必要があるのだとご存じなのだろうかと疑問に思う。石狩川に放流して4年待っても帰っては来ないのだ。双子はともかく、三つ子を作って成功と称するのは盗人猛々しいと思う。妊娠おめでとうございますと君らが言った後のお母さんやご家族のご苦労を考えてみたことがあるか。子育てって大変だよ。君らは大学院に籠もってたろうけど、嫁さんに聞いてみな。
三つ子を育てて幸せなご家庭もあろうが、それはそのご家庭のご苦労の賜物だ。苦難が人を育てるというのは、苦難を与えることを正当化する根拠にはならない。教師の体罰も懲戒される時代だ。
減数中絶を勧めるのは、精々誉めても盗人にも三分の理ってところだ。そんな事実無いなんて言うなよ。こっちも具体例告発まではしたくないんだ。患者さんが傷つくからね。
患者さんは熱意だけでもいいと思う。クールな熱意ならさらに良いが。しかし不妊治療や周産期医療のプロの側が熱意だけではいかんのである。我々に必要なのは、クールでクレヴァーな知恵である。
産科の諸先生の反論を待つ。

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