病棟に復帰

午前中は自院で小児科一般外来。昼で切り上げて、さて大学へ行くかと思っていたら、自院NICUの若手からお呼びがかかった。NICUの赤ちゃんがひとり予想外に悪化しているとのこと。電話を聞いてみたら、自分が何をするべきかは彼自身も分かっているように感じられた。背中を押してやるだけだなと思った。

NICUに行ってみたら、若手ら3人があれこれと話し合って、仕事を分担して、この子の処置を着々と進めていた。私はうしろでそれを眺めながら、うちのNICUも世代が変わりつつあるなと思った。嬉しいことだ。

ラスト1チャンスの血管確保をする段になって、若手が躊躇していたので代わった。自信がないとかで躊躇すると、針先のスピードが鈍る。のろい針からは血管が逃げる。覚悟の決まらない血管確保は成功率有意に低い。

しかし若手の成長のためを考えると、こういうときに代わるべきなんだろうかとは、いつも思う。血管確保は基本的な処置だが、基本の常で奥の深さは限りない。駆け出し指導者としての私には、自分がやるならともかく、後進がやるときの成功率を読むのはかなり難しい。処置はやらなきゃ上達しないが、できそうにもない難易度に手を出したところで自信をなくすばかりで身にはつかない。なにより処置は成功してこそ痛い目を見る赤ちゃんに申し訳が立つんだけど、痛かった失敗したではどうにもよろしくない。できるできないの境界の、できる側にわずかに寄ったあたりの難易度を各人に見切ってやらせていくのがいいんだろうけれども、そんな達人の領域には私はあと20年ほどは到達できそうにない。

20年前、日本SFがラノベに圧倒される前兆

訃報の記事に一緒に書くのは憚られて項を変えるが、大学以降だったと思う、「『星を継ぐもの』を読んでハードSFに目覚めた、なんて中学生並みで微笑ましいよね」みたいな論評を読んだ。そうか『星を継ぐもの』を読んで感動していた俺はダメなのかと思った。

今ならさらっとスルーできるんだろうけれども。

あるいは、せいぜい由緒正しいはあどSF読んで引き篭もってやがれとか、悪態をつくんだろうけれども。

なにさま、当時SFファンのコアだと自認していたような人らが、そんな、平家にあらずんば人にあらずみたいな思い上がったことを言ってたから、中学生並みですがそれが何か?という私を含め多くの読者をラノベの方へ逃がしたんじゃないかと思うのだが。

J.P.ホーガン氏死去

月の裏側で人間の死体発見─赤い宇宙服に「イチバァン!」の文字 : bogusnews

亡くなったことをbogusnews経由で知った。記事を読むとbogusnews編集主幹のリスペクトが伝わってきた。まだ69歳だったというのに軽く驚いた。

『星を継ぐもの』に続く3部作を読んだのは高校のときだったか中学の時だったか。学校の図書館にあったというのは憶えているのだが、どっちだったか判然としない。4作目は読んでないな。この機会に読むかな。早川書房も増刷かけるだろうし。