2016年に加速した、京都市の出生数の急激な減少について

先日、京都市の2023年の出生数が発表された。前年10月始まりの9月〆で統計をとるので、この時期に発表になる。2023年(令和5年)の出生数は8109人。前年2022年の8591人から482人の減。率でいえば約5.6%の減少である。

1990年以降の推移をグラフにすると以下のようになる。2016年から急に状況が変わったように見える。それまでも緩やかな減少傾向にはあったが、以降急落している。年率5%ほどの直線的な低下である。ちなみにコロナ禍の影響があれば2020年前後にもうひとつ変化があるはずだが、それはあまり明らかとは言えない。

2016年ころ何があってのこの変化なのだろうか。出生数が急激に変化するようなできごとが、この年になにかあったかというとあまり記憶にない。リオデジャネイロでオリンピックがあったりした年。アベノミクスがはじまって3年目。決め手に欠ける。

京都市の15歳から45歳までの女性の人口の推移をグラフにしてみると以下の通り。

出生数ほど明瞭ではないけれど、やはり2016年頃から減っているように思う。子どもを産む年齢層の女性の減少。これは少子化を加速する要因になり得ると、2016年以前から言われていたようには記憶する。自然動態だけなら人口の年齢構成はかなり正確に予測できるものなので、将来こうなることは確定した事実ですと2010年以前のいつかの新生児学会で講演を聞いたように覚えている。

2016年生まれといえば今は小学校に入るころの年齢であるが、当地の今後の小学校では、学年がひとつ下がるごとに人数が5%ずつ減ることになる。小学生関係の「市場」の規模は今後毎年5%のスピードで縮小する。5年すれば中学生相手の市場がそのペースの縮小を開始する。10年後には大学生の市場だ(しかし大学生にはさすがに京都では社会的流入を当てにできるかもしれないが)。15年後には就労する若い人の人数が、年率5%で縮小し始める。これは今年生まれた人がこの人数であった時点で確定したことだ。人口の流入による社会的増減に期待するにも、出生数に関して国内はどこも似たり寄ったりだろうし、京都は大学生世代は多少ましかもしれないが卒業すれば出て行く人ばかりで、それ以外の年齢層にとっては小児も成人も流入が流出を上回るほど魅力的な土地とも思えない。

各論的なことではあるが、大学生の年代で社会的な流入があることは、大学の定員が変わらない前提でだが、上記の年代の女性人口の減少が出生数に較べて鈍く見えることの一つの要因かも知れない。18歳から20台前半の女性で、京都の大学を選んで当地へ移住してこられた方々は、妊娠出産は念頭に置いてはおられないだろう。そして卒業すれば大阪なり東京なり出て行かれるおつもりの方が多かろう。

各方面への影響が今後顕在化していくと予想する。

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