NICU加算の変更

今夏から自施設NICUで請求する新生児特定集中治療室管理料、いわゆるNICU加算を1から2に変更した。

直接の契機は2024年で猶予の切れる「医師の働き方改革」だった。その対策としてNICU当直の労基法上の正式な許可を得たところ、2024年度に入って早々、加算1は当直態勢で運営している施設には認めないと厚労省が言い出した。と言われて夜勤態勢を組むほどの医師の人数を揃えているわけもなく、観念して変更することとした。

従来の加算1の条件である「過去1年以内に超低出生体重児の新規患者4例以上」は変更直前まで満たしていた。NCIUの当直許可を得られたのでとうめん加算1で継続可能と思っていたので、今回の厚労省の新施策は青天の霹靂ではあった。しかし当直許可を得るための労基署との折衝の過程で、当直時間帯には診療業務はほとんどありませんと、さんざん主張した経緯はある。そんな態勢では超低出生体重児ほか重症例の診療報酬を請求するのにはふさわしくありませんという理屈には、ごもっともと認めざるを得ない。

2024年という時限を切って医師の働き方改革が強調されるなかで、2023年に駆け込みでNICU当直許可を得た施設は当院以外にも多かったことだろう。当院の人事課担当者からの情報でも、当直許可の申請を出している施設が多数に上ることや、役所の審査もこころもち甘くなっている感触があることを聞いていた。政策として「ヤミ」の当直を明るみに出して当局の管理の下に置くことを最優先とする方針なのだろうなと思っていた。

果たして2024年度に入った早々の5月にとつぜん加算1は当直では駄目と言い出すのは、政策の進め方としては利口なやりかただと思った。お互いに一手ずつ打ち合って対局の局面が一歩動いたという感触である。私も京都の施設であるからには、「利口なやりかただ」と口に出すときには多少なりとも京都的なニュアンスは含むけれども。

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