私も生物を履修していない医学部生でしたが何か?

Scott’s scribble – 雑記。: 大学生の学力低下

つーか、仮にも大学なら連立一次も解けない奴入れんなよ。

という指摘を拝読して溜飲を下げた。そうだよな。本来そういうものだよな。喝采喝采。馬鹿を入れておいて馬鹿でしたって頭抱えてもねえ。そりゃあ自分らの浅はかさを嘆かなきゃ。
元ネタは「内田樹の研究室」のエントリー「るんちゃん・健ちゃんと日本の高等教育の末路」においての

第一は学生の止まるところを知らない学力低下である。
大学の正規の勉強だけではとても追いつかない。
リメディアル教育の他に、家に帰ったあと自学自習させないとどうにもならない(なにしろ連立一次方程式がとけない工学部学生とか、生物を履修していない医学部学生とかがざわざわいて、ついに小学校の算数からのリメディアルをはじめた私大もあるのだ)。

云々の指摘である。大学生の教養の低下については内田先生の著書やブログには大量の蓄積がある。例えば現在の大学1年生の英語力は内田先生ご自身が中学3年の時のそれに等しいということらしい。私は事情を知らないから「そうなの?」と素直に感心していたものの、今ひとつ釈然としない思いもあったのである。
内田先生のこの指摘にはもう一つ文句を言いたい。連立一次方程式が解けない工学部学生と生物を履修していない医学部学生を一緒くたにしてほしくない。生物を履修していない医学部学生は馬鹿だから生物が理解できなかったわけじゃない。生物のかわりに物理を履修したのである。大学入試では物理のほうが生物よりも高得点をねらえるというのが第一の理由だが、例えばNICUでの人工呼吸管理など最新の医学を学ぶのに高校レベルの物理の知識は必須だから、これは決して邪見的な選択ではない。
古い人や部外の人の想像以上に現代医学は物理の基礎知識を必要としている。しかし医学部を目指すような面々には、決して、インダクタンスだのインピーダンスだのという重要だが地味な概念を自習で身につけるのは容易くない。少なくとも、私は、高校の物理か生物かのどっちかは授業してやるから残りは自習でやれと言われたら、授業では物理を聞くことにして、生物は自分で学ぶ。自分の嗜好はそうなってるから。

コメントを残す