「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの襲撃」を観た。
アナキンがダークサイドに墜ちずに済む手段があるとしたら、まずはオビ=ワン・ケノービやジェダイ評議会に対して「それを言っちゃあおしめえよ」と言ってくれる寅さん的な年長者がいてくれればよかったのではないかと思った。
成熟のロールモデルというのは単独者によっては担われることができない。
タイプの違う二人のロールモデルがいないと人間は成熟できない。
これは私の経験的確信である。
この二人の同性の成人は「違うこと」を言う。
この二つの命題のあいだで葛藤することが成熟の必須条件なのである。
多くの人は単一の無矛盾的な行動規範を与えれば子どもはすくすくと成長すると考えているけれど、これはまったく愚かな考えであって、これこそ子どもを成熟させないための最も効率的な方法なのである。
オビ=ワンと、彼とは矛盾するメッセージを送ってくるもう一人の年長者との間で、揉まれて葛藤して、その両者が彼に送る唯一共通したメッセージ、「成熟せよ」というメッセージを受け取ることが必要だったのだと思う。
とすればジェダイの修行のやりかたは、過去にいろいろといきさつがあって定まったやりかたとはいえ、あまり良いやり方ではない。システマティックに未成熟なジェダイを生み出すシステムになっている。崩壊の遠因はシステムに内在していたのではないだろうか。ヨーダ師は最近みんなが傲慢になっているとぼやいていたが、多分に修行のしかたが悪いのだ。
せめてクワイ=ガン・ジンが生きていたら状況は違っていたのではないか。彼なら寅さんたり得たように思うのだが。