レスパイトの病名付けに苦労する

 外来で拝見している脳性麻痺のこどもたちのレスパイト入院を手配するのに病名で苦労している。京都府からは「厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業対象疾患一覧」なる表がまわってきていて、この表にある病名ならレスパイト入院の助成を認めますよと言われた。しかしその表に「低酸素性虚血性脳症」とか「脳性麻痺」とかいう文言はない。彼らの主病名が無いと、なんとなく京都府は分娩時仮死後の脳性麻痺の子にレスパイト入院の必要を認めていないと言われているようで遺憾である。「ターナー症候群」はあるんだけれどもね。いったいターナー症候群ってだけでレスパイト入院が必要なほどの病状になるんですかねと京都府には聞いてみたい。

 レスパイト入院の費用対効果は障碍の重篤さや、それによる介護の必要度の軽重で決まるんじゃないかと思うのだがどうだろう。問題にするべきは原疾患の難病ぶり如何ではなくて*1障害者手帳の1級相当で、ほかにたとえば在宅人工呼吸してますとか経管栄養依存ですとかいった個別の状況も加味して、といった事項なのではないか。

 まあ向こうがそう言うならそれはそれで仕方ないと、低酸素性虚血性脳症は「重症・難治性急性脳症」の一つですとか、ウエスト症候群を合併している子には「年齢依存性てんかん性脳症」がありますとか、解釈レベルでいろいろと考えた書類を書いている。たぶん受け取る側も事情は分かると思うので助成はおりるはずである。いや、認められなきゃ本当に大げんかですよ。でもまあ、なんとなくそういう抜け道を考えるのは制度の本筋ではないような気がする。本筋じゃないやり方を続けているといつか行き詰まる。

 本件については今後の改善が必要である。協議する機会があればいいんだけどな。

*1:低酸素性虚血性脳症の病態が難病として研究する価値がないほど単純なものなのかどうかに関しては、それはそれで言いたいことも色々あるが。

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