日本が破産しなくとも

日本は破産しない!?騙されるな!「国債暴落で国家破産!」はトンデモ話だ!

日本は破産しない!?騙されるな!「国債暴落で国家破産!」はトンデモ話だ!

日本は変動相場制なんで、好きなだけお金を印刷すればいいんだから破産はしないのだそうだ。

何とはなく、それはやってはいけないことのような気がする。素人なんで根拠は示せない。何とはなく、だ。禁じ手の臭いがする。触っただけでこっちに悪臭が移りそうな、実も蓋もないほどに下品な考え方のような気がする。

あえて根拠を言うなら、お金ってそんな無根拠なものなのか?という疑問がある。そりゃあ金本位制でもなし固定相場でもなしと、言われりゃたしかにそうかもしれない。けれども、やっちゃいけないって誰も言わないからやっていいんだというのは、ときには因習を打破する考え方になるかもしれないが、多くは、お天道様の元では人としてそれはまずいだろうという、あえて言及するまでもないほどの下策であることが多いんじゃないかと思う。

さらに言うなら、誰かの負債は誰かの資産だそうで、900億円国が借りてるってことはそれは誰か(大半が国内に居られるのでなお安心だとのこと)の900億円の資産になってるんだそうだが、国や日本銀行の操作でその借金を始末できるってことは、だ、国や日本銀行がその気になればその誰かさんの資産をチャラにすることも可能だってことなんだよな。好きなだけお金を刷るったって、それで何らかの価値が無から生じてるわけでなし、価値を生まない操作で借金が減るってことは、その借金を資産として抱えている立場からすれば、なんらの価値あるものを代替として受け取らないままに資産が溶け落ちていくっていうことじゃないだろうか。

国や日本銀行がそこまでえげつないことをするかどうかだが、本書の著者は邪悪だ無能だ浅はかだとさんざん国(あるいは官僚)や日本銀行の悪口を言っていても、さすがにそこまではやらんだろうとの基本的な信頼感をお持ちらしい。なんかこう認識が甘くてあっさりしすぎなんじゃないかと思う。「彼ら」が著者が言うほど手前勝手で道徳観を欠いてたら、やるでしょ。それくらい。そもそもルールは彼らの手にあるわけだし。

まあ専門外ではあるが私ごときの知識でも、お上がなりふり構わず自分の借金を始末した結果として下々が泣かされたことが歴史上すくなくとも2回あるはずと記憶しているのだが。

その1度目は幕末から明治にかけて、各藩が藩内だけで通じる不換紙幣である「藩札」を大量に発行していたが、維新後にそれは紙くず同然となった。出稼ぎやなんかで苦労して蓄えた一生の貯金がさらっと紙くずになったという記載が「日本残酷物語」にもあった。

あるいは各藩は大阪(当時は大坂)の豪商に借金していたが、維新に伴ってことごとく踏み倒した。そのために大坂の豪商の10件中9件まで潰れたんじゃなかったかな。今で言えばメガバンク一連も生保もみんなさらっとなぎ倒されるってことだな。

2回目は米国との戦争で大量に発行した国債を、戦後のインフレでちゃらにしたもの。預金封鎖とか新円切り換えとかいろいろあったけど、とりあえず、戦費に使った国債の借金がどこかへ消えた。誰かの借金は誰かの資産だそうだから、そこで資産が消えた人がだいぶんあったんじゃないかな。

それらはみな結果的にそうなっただけであって、意図的にそのような操作がなされたわけではないのかもしれない。しかし意図的にであれ結果的にであれ、国家というものはその気になれば国民を犠牲にしてでも生き延びることは可能なのだということは、どこかで記憶しておいた方がよい。国家は破産しない。だから何?その犠牲になって自分らが破産してもよいと?愛国心が強いのは結構なことだと感心はするけれど。

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