実はPS2で遊ぶのが趣味である。先だってICOをやり終えた。面白かった。
あのゲームの物語構造は、大人になりかけで体力的にはタフだがあんまり世界の構造が分かってない少年と、少年にエスコートされる年上の女性(少年に守られているようでいて実は少年よりも強かったりする:該当世界が抱える問題の核心を知っており、なにがしかの責任を感じている様子)が主人公。悪役は女性の母親で、この母親が物語世界の構造を決めている(いわば女王である)ため、悪役を殺した段階で世界が崩壊してしまう。少年には数多くの先輩が居て、みんな犠牲になっており、物語世界の構造を支える資にされてしまっている。
主人公の名前は決して星野鉄郎ではない。年上の女性はメーテルではない。でも物語の構造はまるっきり銀河鉄道999と同じ。なんかこう・・・これって俺ら成長しきれぬ半端男の心をそんなに惹き付ける物語構造なのだろうか。たしかに、まだ女の子よりも背が低いような少年の頃に、自分より頭一つ背の高い年上の少女と仲良かったりしたらと思うと、わくわくしないこともない。一方で、書いててかなり気持ちが悪い。今のそろそろ中年である私がそんなことを考えているという構図を自分で振り返れば尚のこと。
背の高さが象徴的だと思う。ICOは少女よりも頭一つ背が低いので子どもの無知故の無鉄砲さも許容されるような気がしたのだが、成人女性よりも背が高くなってしまった時期からは、女性を守っていると自分では思っているけれど実はその女性の掌の上にいるという構図があまり微笑ましいものではなくなる。(私ならさしずめ中学3年の夏休みだろうか:それまではチビだったのに一気にクラスの男子女子大半の背丈を追い抜いてしまった)。
宮部みゆきがノベライズした小説では、女性の父親(悪役の夫)まで登場して女性の心の支えになっている(無論悪役である妻に殺されている。さすがに女性のペンダントに封じ込められていたりはしないが)。こりゃあ松本先生に幾らか払うべきなんじゃないかとさえ思った。ただ、ゲームをやってからこの小説を読むと、プロの小説家が執筆するときにどこを膨らませどこを削るかということの勉強になりそうな気がした。ノベライズの上手下手の違いはプロの小説と子どもの作文の違いだと思った。
ゲームに関して。鎖にぶら下がって丸ボタンを押しながら左スティックを動かすと鎖を揺らすことが出来る。左スティックで移動しながら丸ボタンを押すと抱えている荷物を投げることが出来る。舞台の各所に置かれた箱は押すだけでなく引っ張ることも出来る(ついでに水に入れると浮く)。いずれも、私はしばらく分からなかったので書き留めておく。それと、視点が自動的に動くが、ジャンプしている最中に視点が移動して目的地の足場が突然逃げることがある。そんなことでゲームオーバーになってしまうのはあんまりだと思う。私が下手なだけかも知れないが。
自分より背の高い少女と手を繋いでエスコートしながら世界を走る爽快感というのが売りらしい。コントローラの設定をオンにしておくと手を繋いだときにぶるっとコントローラが震える。これがけっこう心に響くと、アマゾンだったかのレビューで書いてあった。でも、この振動モードをオンにしておくと高所から転落して最終的に身体が潰れるときのぐしゃっという手応えもコントローラから伝わってきてグロいので私はオフにしておいた。
